情愛の深い社会
『私にとって重要なのは在りし日のこの国の文明が、人間の生存をできうるかぎり気持ちの良いものにしようとする合意と、それにもとづく工夫によって成り立っていたという事実だ。ひと言でいってそれは情愛の深い社会であった。真率な感情を無邪気に、しかも礼節とデリカシーを保ちながら伝えあうことのできる社会だった。当時の人びとに幸福と満足の表情が表れていたのは、故なきことではなかったのである。』(『逝きし世の面影』渡辺京二)
『私にとって重要なのは在りし日のこの国の文明が、人間の生存をできうるかぎり気持ちの良いものにしようとする合意と、それにもとづく工夫によって成り立っていたという事実だ。ひと言でいってそれは情愛の深い社会であった。真率な感情を無邪気に、しかも礼節とデリカシーを保ちながら伝えあうことのできる社会だった。当時の人びとに幸福と満足の表情が表れていたのは、故なきことではなかったのである。』(『逝きし世の面影』渡辺京二)
カリール ジブラン: 預言者
『預言者』 カリール・ジブラン
過日紹介した出口さんの本に紹介されていたもの。
届いた実物は薄くそして小さな本。そして手触りのいい表紙。
早速、読みかけの本を差し置いて読み始めた。
何だか不思議な文体。
あまりこの手の本は読んでいないかも?
テーマは27。
愛・結婚・子ども・施し・飲食・労働・喜びと悲しみ・家・着物・売買・罪と罰・法律・自由・理性と情熱・苦しみ・自らを知る・教えること・友情・語ること・時・善と悪・祈り・快楽・美・宗教・死・別れについて書かれている。
考えさせられたのは施し。
納得したのは友情。
再認識したのは宗教。
などまた時々テーマごとに開いて読み返すのもいいと思う。
さわやかな気持ちになれる本だと思う。
自然体でいこう。
原 英史: 国家と官僚 こうして、国民は「無視」される(祥伝社新書)
『国家と官僚』 原英史
こういう本を読むと辛いですね。
改革というものは如何に時間がかかるか。
もちろんすべて改革が正しいなんて言うつもりはないが、変化のスピードの問題です。
官僚機構を真面目に紹介。分析された本です。
本を書く人が不真面目には書きませんね。
堅い本だと思います。新書なのでもう少しやわらかいと思って読み始めたからかな。
問題点とされた点については歴史を追って詳細に書かれていますが、何と言っても問題の本質とされている部分ここだと思います。
以下抜粋
つまり、問題の本質は、内閣(ないし大臣)が、日本国政府(ないし各省)の“経営者”として機能する構造になっていないことです。これでは、「官僚機構が国民の利益のために働く」ことを担保できません。現に、各省縦割りで、それぞれの縄張り内の特定利益に偏重した政策決定がなされ、さまざまな分野で「政策の歪み」がもたらされてきたのです。「官僚主導」と言われる問題の本質は、この構造です。これを正すために、「内閣機能の強化」や「幹部人事の内閣一元化」といった議論が、古くからなされてきました。時に部分的な前進もありましたが、問題は解決していません。
意外だったのは国家公務員法第78条
「勤務成績がよくない」「心身の故障」「必要な適格性を欠く」といった本人の問題がある場合や、「廃職又は過員」、のようなケースは免職も降格もできると書いてある点。
変わらぬ公職選挙法について
政党や有権者に対する不信、愚民感があった。
それを逆手に利用している政治の流れもあったか変わらず続いていると思う。
インターネット選挙が解禁になったが、選挙に出てみて分かることはおかしなことが多々あること。有権者や政党が不正をするという前提で法律ができているから・・・。
その点ではもう変わっていいと思う。
それだけ政党も有権者も変わってきていると思う。
出口 治明: 本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)
本の「使い方」 出口治明
何かの本か雑誌で著者のことを知った。
その時おすすめの本であった「ハドリアヌス帝の回想」マルグリット・ユルスナールを購入して読んだのを覚えていた。
著者の紹介する本は、ちょっと難しいイメージ。それだけ長い時間をかけてきているので大書をよんでききている。
私など手に出ない本が多い。
やはり学生時代に乱読しておくべきだったと思う。
読書論的な本はいくつもある。
今回のこの本もそうだ。
私は赤鉛筆をもって線を引く方であるが、氏はそうでない。
しかし、それぞれのやり方でいいと言っている。
速読やななめ読みは否定されている。
私も基本的にはすべて読むようにしている。途中でやめる本ももちろんある。
本によって読み方は違っていいのではと思う。
確かに著者には失礼かもしれない。
原書を読めというのは私も同じだが・・・。人に言えるほど私は読んでないと思う。
教育・・・生きていくために必要な最低限の武器を与えること。
教養・・・より良い生活を送るために、思考の材料となる情報を身に付けること。
ストックしてある知識や情報の量が多ければ多いほど、思考や直観など脳の活動の精度は高くなります。だから私たちは、たくさんの教養を身に付けておく必要があるのです。
この点は、大いに納得。
ベストセラー本は読まない。
私もどちらかというとそうかもしれない。
永いときを経て今なお残っている物には、必ずそれなりの価値があると思う。著者もその点は語っている。
逆にベストセラーは、外山滋比古さんの時の試練の話を思い出す。
後で読む選択を残しておいても十分なような気がする。
いくつかのおすすめ本で読みたい本があるので購入したい。
さて、書店にするかネットにするか?
「本を読む人が少なくなると、既得権者や為政者が支配しやすい社会が出来上がると思います。」
本を読まないと、教養が身につかない。身につかないと自分の頭で考えることができなくなる。
「指針の定まらない時代にあって、何かを選択するかは、自分の頭で考えるしかありません。思考を停止して世の中の空気に左右されていると、物事の本質を見誤ります。」
LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)のニコラス・バー教授の言葉を引用されている。
「年金とか社会保障は、負担がすなわち給付なので、みんなで選挙に行って税金の分配が上手な良い政府をつくること、もしくは、経済成長することによって負担が自然増して給付が充実すること、これ以上に大事なことは何もない」
著者は全く同感と・・・。
選挙について
そもそも選挙は「より良い人」を選ぶための仕組みではないと。
ウィンストン・チャーチル「選挙とは、必ずしも信用のおけない候補者たちの中から、相対的に良さそうな人を選ぶ『忍耐』のことである」との言葉を紹介している。
もちろん次の有名な一言も・・・。
「民主主義は最低の政治形態である。ただし、これまで試されてきたすべての政治制度をのぞけば」
これほど民主主義の本質を言い当てている言葉もないのではないか?
消去法で選ぶしかないのが選挙だと・・・。
で、私個人としてはどうするか?戦略が大事。
一つこれをやれば良いという決定的な解決策や成功例はないのだから・・・。
それでも、いやだからこそ・・・。
中村 隆英: 昭和史(下)
何と言っても現代が平和だと思う。
昭和私もぴったり20年間生きたが、私が生まれた44年以前は激動の時代だった。
読み始めたとのが選挙期間であったのもあるが、投票率や市民の政治への関心という点で読み進めていたと思う。
ここのところ昭和や宰相の本などを中心に読んでいる。
政治とは?リーダーとは?市民参加とは?
このあたりが気になっている。
政策の本はしばらく読んでいないかも?
興味深いところ・・・保守化の分析について
第一に高度経済成長期末期に盛り上がった体制批判ないし反体制運動は影をひそめた。労働争議も減り、石油危機以降は組合も企業に協力し、物わかりのいいところを示すようになった。べ平連などの市民運動も、これ以後は盛り上がりに欠け学生も労働者も市民たちもシラケてしまった。
第二に自民党中心の政治体制が固定してしまったこと。1980年代に入ると、かつて若い世代が支持していた社会、公明、民社、共産の諸党が、若者の支持を失って、次第に三〇~五〇歳代の中年層の支持に依存するようになってきた。二〇代の若い世代は圧倒的に支持政党なし。
大平首相死後の自民党の勝利について
同情票と言われるが、自民党の得票率の増加は大都市だけの現象で、非都市では変化はみられない。当時の政治ドラマの展開のせいで、いつもは棄権している層が投票所につれ出されたのではないか。「大都市の常時棄権票は潜在的な保守支持票で、一部が社会党票であることは、いろいろな調査から推測できること」
時代の思潮として、徳目の調査結果から日本の社会が変化を好まなくなったことを物語っているようにみえる。としている。
保守化の根は深いと・・・。
この点から言えば、民主党政権の失敗はより保守化と無党派層の増加を進めたと言えるだろう。
学生の余暇は、テレビ・マンガ・雑誌に費やされて、新聞も読まなくなった。1979年からしか得られないが、その前はもう少し自分でモノを考える時間をもっていたはずだと思われる。
当時のベストセラーを見ても、学生が知的努力を放棄してしまったことを象徴するように思われる。それがすでにみてきた若い世代の安定化、保守化、保守化傾向と結びつく最大の要因のように思われてならないのである。自分で考える努力をしなくなれば、先祖帰りがおこるのは当然なのではなかろうか。と分析している。
だとすれば地方の保守化理由は、利益誘導とともにこの点が要因だということか?
国際化についても今後の役割について問われている。
中曾根首相がレーガンの「捕手」の役割に甘んじたように、つねにワキ役にまわっていると・・・。
今回の安倍さんの演説は著者にとってどのように映ったのだろうか?
興味がわく。
次回は違う視点で読むとまた違う学びが得られると思う。
小林一行: なぜ一流の男の腹は出ていないのか?
なぜ一流の男の腹は出ていないのか? 小林一行
タイトルからは中身を想像するとある面裏切られるかもしれない。(笑)
中身はダイエット本。
これなら無理なくできるかと思います。
続くかどうか?ですが、その点にも言及しています。
ダイエットというか血糖値をあげない食べ方でしょうか。
男性の場合、これで腹回りは細くなるそうです。
食材と食べ方。
カバンで筋肉を鍛える。
階段をうまく利用する。
席を何度も立つ。
負担なくするためにも考え方、発想の転換が必要だと思いましたね。
結果は数か月後です。
期待しないでお待ちください。
岩波 邦明: 東大医学部生だけが知る 超・知的生産法 (角川新書)
「東大医学部生だけが知る超・知的生産法」岩波邦明
以下メモとして
とりあえず集中して30分で頑張りました。
あとでもう一度広げますが、知的生産力の三本柱は、「持ち時間」「集中に入る力」「集中を継続する力」だそうです。
持ち時間は自分の使える時間を増やすように生活を見直すこと。
集中に入る力は、子どもが勉強を開始するまでの時間を見ていれば理解できます。早く始めて残った時間を有効に活用すればいいのにと大人は思うのですが・・・。
集中するには目標となる対象に意識を向けるだけでは不十分であり、その他のことを意識的にシャットアウトする必要がある。周りに余計なものを置かない。ゲームは2時間なんてきめないで、そもそもやらない事を選ぶ。
最高のアイデアは短時間で浮かぶそうで、締切をうまく使う。
私に一番必要かなと思うことは、自分の邪念を可視化することだとおもいました。
目の前の作業以外の邪念が湧いたり、余計なことをしてしまったら、必ずそれをそのまま紙に書きとめる。なかなかできないかもしれないけど、反省材料と時間の確保にはつながるだろうと思う。
「休憩」とは技術であり、うまい休憩の取り方ができるようになるほど、高い生産力を得ることができる。
散歩の時間は何となく空いたときよりも、むしろ脳を良く使っている仕事中や勉強中に取るようにすることでパフォーマンスを高められる。
アウトプット力を高めるのは速書き、脳の思考スピードを抑えるブレーキがなくなり、より生産性を高めることができる。
人間が変わる方法は3つしかない。
①時間配分を変える。
②住む場所を変える。
③つきあう人を変える。
決意は何も変わらないそうだ。
仕事の中の楽しみとして、もっとも見出しやすいのは「自分の成長」
挑戦する環境を常に作る。
脳の余計なスイッチを切れば切るほど目の前のことに振り向けられるエネルギーが大きくなります。脳のお掃除をして狭い部屋を広くするのだそうです。
後藤田 正晴: 政治とは何か
『政治とは何か』 後藤田正晴
少しふり本であるが、真髄が語られているので大いに参考になった。
「国民が、日本にはこれだけの経済力がある、大国になった、と思っているとすれば、とんでもない間違いを犯すことになるだろう。」
国の問題だけではないですね。地方も・・・。
数十年に責任を持てない人が政治をやっているんだからむちゃくちゃですよね。
お年寄りがすべていけないというわけではないけど責任ある人にやってもらいたい。
政治家の役割は、「何が今国民にとって重要な課題なのか、それをつかんで国民に周知徹底させ、そして国民の理解と協力のもとに強力に実行して成果をあげること」。この役割を果たすのに、一般には、見識、先見性、実行力、統率力が必要だと言われることが多い。私もそれには同意見であるが、さらに、総理大臣にはもうひとつ重要なことが求められる。
政権をとる目的のところにも書いてあったが、「あくまでも、国家、国民の利益の上に立つという姿勢が必要ではないか、」ということだ。
そして政権を担う人は、大局観を間違えずにやることが一番大切なことだ。
ベネチアの歴史に学ぶという部分は参考になる。
ベネチアの繁栄は、貿易で国民の糧をうる以外に生きる道がないという現実を冷静にみつめて、外交の選択を間違わず、賢明な外交政策を展開してきたこと。当時どの国でも内紛が絶えなかったなかで、政治、行政の組織がしっかりしていて、内部対立を克服し、比較的安定した社会秩序を維持しえたからだ。
海洋国家日本には大いに学ぶべき点があるのであろう。
古本で安く購入したが、価値は価格以上だった。
すき間時間で残り数ページを読了。
しばらく読書ができるような状況ではない・・・。
とほほ・・・。
ギュスターヴ・ル・ボン: 群衆心理 (講談社学術文庫)
『群集心理』ギュスターヴ・ル・ボン
選挙を終わってこの本を読むと納得させられる部分が多い。
選挙戦前に群集心理を優勢に持っていけないと、短期戦でそれを覆すことはほぼ不可能と思う。ほぼ互角で選挙戦に突入しない限り・・・。
群衆に特有な性質の出現には三つの原因があると・・・。
①群衆中の個人は、単に大勢のなかにいるという事実だけで、一種不可抗的な力を感ずるようになる。これがために、本能の任せるままになる。
②精神的感染。群衆においては、どんな感情もどんな行為も感染しやすい。個人が集団の利益のためには自身の利益をも実に無造作に犠牲にしてしまうほど、感染しやすいのである。
③被暗示性。個人はその意識的個性を失うと、それを失わせた実験者のあらゆる暗示に従って、その性格や習慣に全く反する行為をも行うような状態におかれることがある。
人間は群衆の一員となるという事実だけで、文明の段階を幾つもくだってしまうのである。それは、孤立していたときには、恐らく教養のある人であったろうが、群衆に加わると、本能的な人間、従って野蛮人と化してしまうのだ。
群衆は、心象(イマージュ)によって物事を考える。心象がいったん喚起されると、今度は最初のとは少しも論理的関係のない、他の一連の心象が喚起されてくるのである。
恐らく偉人にして、群衆の想像力を刺戟すべき方法をナポレオン以上によく心得た者はなかったであろう。彼がたえず心にかけていたのは、群衆の想像力を動かすことであった。
民衆の想像力を動かすのは、事実そのものではなくて、その事実の現われ方なのである。
言葉とは心象を呼び出す押しボタン。
選挙上の群衆という章がある。
時代が変わっても、群衆の心理は変わらい部分もあると思う。
リアルなのでここに書かない。
興味のある方は、一読をおすすめします。
そしてこの本の最後の一文。
「一つの夢を追求しながら、野蛮状態から文明状態へ進み、ついで、この夢が効力を失うやいなや、衰えて死滅する。これが、民族の生活が周期的にたどる過程なのである。」
心しておきたい言葉だと思う。低投票率によってこの文明状態がいかなる歩みとなるか?創造力をはたらかせないとね・・・。
金子 勝: 資本主義の克服 「共有論」で社会を変える (集英社新書)
資本主義の克服「共有論」で社会を変える 金子勝
最も共有が必要な分野として社会保障をあげる。
社会保障制度は、標準世帯モデルを前提に制度設計されてきたが、雇用関係や家族形態が変化してきている。実際、一五歳から二四歳までの若い被用者の約三人に一人が正規雇用になり、結婚しない・出産しない男女が増えている。離婚による母子家庭も増加し、さらに独居の高齢者が増加している。
非正規雇用者は雇用条件が悪く不安定なだけではなく、社会保険制度でも著しく不利な状況に追い込まれてしまう。
国民健康保険や年金制度は一元化が必要と訴える。これが共有の必要な理由と意味である。
地域民主主義の場が必要
自らの政策を自ら決定するだけの権限と財源の裏付けが不可欠である。それによって、地域住民の自己決定権が保障される。
エネルギー、食と農、社会福祉などの分野において、地域の中小企業、農業者、自営業者、市民などが主体となって、地域の資源に基礎を置きながら自ら決定に参加することによって、生活の質を高め、雇用を創出していくものである。まさに必要とされているのは、地域民主主義を新しく制度化する経路を構築することである。
今後、地域が活性化するかどうか?はこうしたものにかかっていると思う。一時のプレミアム商品券では根本的な問題解決にはならない。アメリカ企業が短期で利益を上げることを優先し、その間高額の報酬をもらう経営者が多い。評価が短期で問われるからだ。政治も同じ、国民、市民に短期的な利益誘導ばかりでは何も解決しないし、だれも責任を取らないシステムになってしまう。一人でも多く参加し責任を分担し共生することを考えて行かなければならいと思う。
氏は現政権に批判的な立場である。個人的にもそれは?と思う思想的な違いは認めつつも電力や社会保障、貧困対策など中庸的判断を下すには、大いに参考になると思っている。
この本は、日本政策学校の氏の講義課題図書して読了。
佐々木 信夫: 人口減少時代の地方創生論
「人口減少時代の地方創生論」 佐々木信夫
日本の構造改革は地方で「働ける場を」をどうつくり出すかいう点に尽きる。
そのために日本型州構想を提言している。
今までの道州制議論を一歩進めるために日本型州構想としている。
確かに名前やイメージは大事。そこからの広がりが全く違うものになるように思う。
州制度移行のねらいとして
①地域化間格差をなくし、全国各地を繁栄の拠点とする。
②中央集権体制を打破し、地域主権型体制に変える。
③多様性ある国土を形成し、地域間に競争が生まれ、ダイナミズムにあふれる国に変えること。
④結果として、行財政の効率化、無駄の排除、簡素な統治機構を実現すること。
何と言っても「国民一人ひとりが自主、自立の精神を持ち、地域の政治や行政に主体的に参加し、自らの創意工夫で地域の特性に応じて多様な地域づくりができる統治体制。」を目指すここがポイントなのだが、これが一番難しい。少しずつ変化していきいるとともに、無関心な人も相変わらず多いのも現実。
この本にも紹介されているように大阪都構想のように、変革できる可能性があるということを市民が体感できることは本当に重要なことだと思う。あきらめてしまっている人にも大いに刺激や変革をもたらすという点では絶対的に評価されるべき動きであると思う。
中身はみんなで研究し議論をすればいいのである。
そしてポイントは著者も指摘しているが税源や立法権の移譲だと思う。
ここをどこまで移譲できるか?これが自分で考える、そして参加する市民を作ると思う。
それと人口減少自治体の扱いにもふれているが、州とともに市町村合併をしなかった町村の扱いも考えていく必要がある。私は広域連携を踏まえて再編する必要があると思う。
それとこの本にも成長ということばが多く出てくるが、この成長のイメージというか言葉の意味をしっかり捉えておくことが重要だと思う。
クラウゼヴィッツ: 戦争論 (まんがで読破 91)
本当なら今夜は東京で勉強会に参加予定だったのですが、体調も今一つなのと家庭の事情で急きょ今朝キャンセル。楽しみにしていたのでとても残念。
またご縁が頂ける様にアンテナを立てておこう。
朝一番で出勤したら、誰もこない。
園長に確認したら、年間予定で今日は休業日になっているでしょうとのこと・・・。
でも一人親子が・・・。
私の仲間がいたようです。(笑)
ということで本棚の整理と、政策学校のたまっていた講義をネットにて聴講。
元横浜市長の中田宏の講義。
やっぱり哲学が大事なんだと再認識。
クラウゼヴィッツ作の戦争論 まんがで読破
原書は難解そうなので漫画に・・・。
まんがもたまには良いですね。
それでも考えさせられることは十分あった。
戦争は「相手に自分の意思を強要するための暴力行為である」こと。
印象的な言葉は、一番よくないのは解決を望みながら「考えない」ことです。いつの時代にも「戦争は悲惨なもの」「絶対に繰り返してはならないもの」の一点張りで自分では考察に一切踏み込まない人がいます。
重い政治課題も同じかも。我が事として考えない人が多いから。
でもあきらめちゃだめだぜ!!
松谷 明彦: 東京劣化 (PHP新書)
昨日も一日のどが痛くそしてひどい咳に悩まされました。本当に参った。
咳と格闘(何度もうがい)しながらの読書。
「東京劣化」松谷明彦
地方消滅とかこの東京劣化とか衝撃的な言葉が当たり前のようにみられるようになった。この本にも一貫して書かれているけど、人口構成のアンバランスがすべての原因。
著者は人口減少研究の第一人者。
政府によって過去二度の人口政策によってのちの世代に災禍をおよぼしたと・・・。
大正から昭和の時代にかけて、兵力増強のために、「産めよ殖やせよ」という大規模な出産奨励策を展開。もう一つは、人口妊娠中絶。1950年4月1日、優生保護法改正が施行され、改正前に260万人だった年間出生数は、施行後、160万にまで激減したこと。
著者の考えからいくと今の少子化対策で子どもを増やそうというのはそもそも間違い。
親の考え方によって出生数は決まる。未婚率から言えば増えないのは周知の事実。
本題の東京だが、将来的に高齢者都市になるということ、公共インフラの維持や低所得者の住む場所さえ確保が難しくなるという話。
ただ、その分地方はこれから可能性があるということも書かれている。
全国減るのは仕方がないし、若者の都市流出も仕方がないが、都会で力をつけた若者が戻ってくるような地方経済、地方社会をつくることに方向転換すること。
欧米先進国の地方経済は、地元企業群を核に、その関連産業や生産性の高い農業で自立性を確保している。こうしたものをモデルとするのがいいのだろうと思う。
2点新たな視点を頂いた気がする。
1点目は、増税をしてはならない。歳出削減をするべき。今の社会保障水準を維持しようとおもえば膨大な税負担になり、制度維持は不可能。
2点目は日本企業の売上高営業利益率の低さ。(過去は高かった)日本の企業のビジネスモデル自体が利益を生まない仕組みになってしまったということ。研究開発を他国籍企業や外国人に入ってもらって推進し利益を生む体質にしなければならない。
まさにシンガポールのリー・クアンユー元首相国葬が行われたが、リー元首相の政策が資源のない国をここまで発展させた。こうした政策を見らなうべきと・・・。
他にもアイデアを頂いた。アイデアノートに書き込んだ。
2060年に人口構造が安定するまで、財政破綻を招かずに乗り切る方策を真剣に考えなければならない。
佐々 淳行: 私を通りすぎた政治家たち
昨晩は夜中に何度も起きてしまい。
なかなか寝付けなかった。
夜中にはかった熱も38.2℃。
今日はベットで読書したり寝たり。
講演ビデオをネットで見たりして過ごした。
「私を通りすぎた政治家たち」佐々淳行
著者の仕事ぶりが良くわかる。一つ筋を通した官僚人生だったと思う。
危機管理の一人者。
その著者が今まで交流のあった国内外の政治家を批評し、政治家のあるべき姿を追った本。
個別の批評はここで取り上げないが、あの政治家はそういう人だったのかというのが分かる。だいたい顔にでてくるものだと思うが・・・。意外だったひともいるが、なぜ総裁になれなかったのかも何となく納得できてしまう。
一番印象深かったのは、中国に招かれ人民解放軍副総参謀長である徐信元帥に天安門事件の批判をした件。
「この私に、そんな無礼なことを言った人間はあんたが初めてだ」徐信元帥が返事をした翌日、公安部で機動隊創設の講義をおこなった。
本当なら逮捕されて良いような発言をした人間に講義をさせたのである。
これは著者の人命尊重の警備という信念が中国側に伝わったからであろう。
歴史的に財政改革を行ったものは非業の死とまではいかずとも、政治的に失脚しているそうである。
まず、「公」があり、「私」が決して優先することはないという「士」がいることを忘れてはいけない。「公」への奉仕という価値観をもつ政治家たれ。と最終章の言葉は最もだと思う。でも逆の人間が当選を重ねていく事実も残念ながらあるのも現実である。
咳に悩まされつつ更新。
半藤 一利: 「昭和史」を歩きながら考える (PHP文庫)
給食費の第三子無償化が富岡市議会で決まったようだ。
一連の報道で我が家で購読している上毛と読売のスタンスが全く違うことが分かった。
選挙が終わってから一貫している。分かる人には分かる・・・。
昨日フォーラムでの話題になったが、政策の失敗の責任はだれが負うのか?
採決の前日にどれだけ悩んで賛否を決めているのか?という話題があった。
これを衆愚・愚民化と言わず何と表現すればよいのか?
私は財政よりもっと大切なものがあると思っている。
戦後70年を迎える。
この国の未来のためと身を賭していった人々は何を思うであろうか?
これも経済繁栄の驕りからくるものなのか?
~ところでいまの日本、「ウヌ、畏るべし畏るべし、おぬし、なかなかできるな」と唸らせるような後生があまりいなくなったようである。どことなく闘志喪失気味の若い衆ばかり、そんなふうに見える。
もっとも爺さんが「いまどきの若いやつらは・・・」とくさすのは、ソクラテスの昔からなんであるそうな。いまになってはじまったことではない。そして、その通り相場は、無気力・無責任・無関心の“三無主義”を叱る言葉。これに無感動・無教養・無作法の三つが加われば完璧になる。おまけに、無協力・無行動もプラスしておけば、もういうところがない。
でもね、明日の日本には大問題となる第九条でも、増税でも、年金でも、あれやこれやの問題すべて、本気で考えねばならぬのは、これからを生きる若い諸君だと思っている。間もなくあの世へゆく老骨にはさしたる発言権はない。国というものは、若い諸君の総意によって変えることができるものでもあり、君たちの意思とかかわりなしに、国の大事が決められるようなことがあってはならない。
後生諸君よ、奮起されんことを。~
「昭和史」を歩きながら (半藤一利)の「後生諸君よ」のコラムから抜粋した一文である。今宵はこれを肴に残念会と決起酒会だ。
あっ!! 娘の迎えが・・・。(笑)
とにかく若者よ奮起じゃ。
橋本 五郎: 総理の器量 - 政治記者が見たリーダー秘話 (中公新書ラクレ)
総理の器量 橋本五郎
最近、首相関係の本がちらほら続いている。
著者は政治記者。
若いころの番記者の時代から見てきた人物評。
中曾根康弘にみる「王道の政治」
福田赳夫にみる「清貧の政治」
大平正芳にみる「韜晦の政治」
三木武夫にみる「説得の政治」
竹下登にみる「無限包容の政治」
宮澤喜一にみる「知性の政治」
橋本龍太郎にみる「正眼の政治」
小渕恵三にみる「謙譲の政治」
小泉純一郎にみる「無借金の政治」
と章立てになっている。
一章の中曾根さんの評価が高い。
政策ももちろんであるが、それを実現するまでの過程それが「政治」だと思うが人柄が現れるというのが良くわかる。
『政治は「思いつき」ではできない。周到なる準備なくして、国の舵取りなどできないのである。』中曾根さんは用意周到だったと。
大平さんの『自分が尊敬する人のところに車で乗りつけるなどという礼節のないことを、自らに許さなかった。政治には限らないだろう。人間にとって大切なことは何なのか、考えさせられるのである』はとてもいい話だと思う。人柄というものはこういうところに出るのだと思う。
『昔、蒙古の名相は、「一利を興すは一害を除くに如かず」という不朽の嘆声を洩らされた』含蓄のある言葉だと思うし、除くべき一害が見えないようではだめとも。これも同様。
『結局、政治というのは人間がやることである。そこに「人間」がいる必要がある。国民を引きつけるもの、やはりそこだと思う。政治家の中に次第に「人間」が乏しくなっているのではないかと、大平たちの時代の宰相を振り返ってみて、あらためて感じるのである。』
宮澤さんの保守論「いかにすればどの程度の改善が、全体のバランスを崩さずに可能かということを、立ちどまって計算する態度が『保守』である」この言葉は宮澤さんの著書にあるそうだ。なかなか味わいのある文章だと・・・。
『政治のリーダーには、時に自分の意に反することであっても、「これをやるのが自分の宿命だ」受け入れて、全力を尽くさざるを得ない時がある。』これも納得。
普天間に触れられているところがある。『普天間はじめ沖縄についてのいろんな問題を考えるときに、沖縄に「絶対反対だ。反対なんだけれども、体を張ってまで抵抗はしない」というところで認めてもらう、それが政治なのだと思う。』これには大いに感心させられる。
現状は、異常な事態に発展しつつある。これを招いたのは一人の元首相。元首相と言いたくもないというのが多くの国民の声ではないかと思う。
この本はリチャード・ニクソンの『指導者とは』が引用されている。
その言葉は紹介しないが、本棚から引っ張り出してみた。
赤線部分を読み返し納得をするのである。ノートに書きとめておこう。
堤 堯: 昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった (集英社文庫)
「昭和の三傑」 憲法九条は「救国のトリック」だった。 堤 堯
昭和の三傑とは、鈴木貫太郎、幣原喜重郎、吉田茂の三人。
天皇に御前会議で聖断を仰いだ鈴木貫太郎。
そしてこのサブタイトルにある主役、戦争放棄と軍備全廃をマッカーサーに提案したされる幣原喜重郎。
吉田茂にいたっては、講和を結び九条を盾にしてアメリカの再軍備の要請を断った人物。
憲法九条の実態をあらわしている点は下記の二点は真実だと思う。
・幣原にすれば「時限立法」のつもりだろう。まさかそれが呪文として、自縄自縛が過ぎることになろうとは思ってもみなかったであろう。
・この擬態は、まさに一石何鳥かの奇策だった。当然のこと、擬態は正態ではない。いずれは正態に戻さなければならない。だからこそ、幣原は閣議で、いずれは軍備を持つときが来るだろうが、いまこのときは「戦力放棄」が必要だとした。つまり憲法九条は絶対平和主義から出ているのではない。あくまでリアルポリティクスからする当座の擬態なのだ。後継の吉田茂はこの擬態を維持して、アメリカによる無益な戦力使役を避けた。これは厳然たる事実だ。
印象的な言葉
貫太郎の執務机の上に、ただひとつ置かれた『老子』にいわく、「大国を治めるのは小鮮を煮るが如し」
「慈あり。故に能く勇なり。―――もっとも穏やかな情けから、大きな勇気が湧いてくる。母の慈愛がその好例」
幣原は言った。「軍縮交渉とは形を変えた戦争」
意図した結果が役に立った。幣原の仕掛けである。政治は結果責任である。Politician(政治屋)は目先の私利・党略を考える。一流のStatesman(政治家)は何年先を見据えた国益を考える。
政治家にあって権力欲と使命感とはコインの裏表である。使命感なき者は単なる権力亡者となる。
タレーランは言った。外交はテーブルの上でする戦争だと。
宰相たる者、国家国民・国益のためなら何でもやる、騙しも脅しもする―――その覚悟なくして宰相の本分は務まらない。深夜、独り達成感に笑う―――愛されことよりそれを生き甲斐とする資質の人間でなくては国の大事は成し得ない。
岸のアト、歴代政権担当者で憲法と安保についてアクションを起す気配はなかった。日本人の「精神的自立の喪失」を難じるなら、彼らこそ罪はあるのではないか。
鈴木貫太郎の胆・幣原喜重郎の智・吉田茂の頑―――順序良く並んだのは幸いだった。彼らが目指したのは真の自立である。これに至らずして新しい「坂の上の雲」は展望できない。「昭和の三傑」それぞれに天命を全うし、アトに続く者に後事を託した。彼らが遠く望んだ願いは、いまだ道半ばである。
これもある方のおすすめの本でしたが納得の一冊。
素直に読めるかどうかだけど・・・。
見城 徹: たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-
たった一人の熱狂 見城徹
以前から気になっていた出版社の社長。
その人生もこの本を読んでかなり理解できた。
生き様が良く理解できる本。
すべて真似できないし、この本のその先を知りたい。
というのはお金が大事で、良いものを買う。良い料理を食べる。
それがさらなる循環を生んでいるのもよく理解できる。
その先は?というのが知りたい。
もしかしたらその先はないかもしれない。
心に残った言葉を記しておく。
「労働によって社会と世界に新しい価値創造をせず、対社会、対世界の関わりを失った生き方の方がよっぽど苦しいに決まっている。少なくとも僕は、そんな上っ面の虚しい生き方は絶対にしたくない。」
「もうダメだからが本当の努力である。」
「優秀な経営者は、例外なく皆トレーニングを日課にしている。対価が必ず得られるトレーニングによって自らを鼓舞し、生まれ変わった肉体と精神で再び飛び出していくのだ。」
「ひとたび成功体験を得れば、壁を突破するための方程式が見える。それが肉体化する。」
「まずは任されている仕事で圧倒的な結果を出して欲しい。」
「君の価値を決めるのは君自身ではない。相手だ。君が仕事で結果を出し続けていれば、『あの人はキラーカードを持っている』と気づいた人が向こうから近づいてくる。」
「人脈は一朝一夕でできあがるが、癒着は決して一朝一夕では成立しないのである。」
アメリカ先住民に「君がなんとなく生きた今日は、昨日死んで行った人たちがどうしても生きたかった大切な明日だ」という言葉があるそうだ。
いつ人生を終えても、「俺の人生はこれで良かった」と自分で自分に丸をつけられるよう、毎日頑張っている。
他にもあるけど自分自身のためにとっておきます。
もったいぶってすみません。
でもそれが読書の良さでしょ。人に言えない学びがある。
実は某有名作家がこの著者に送ったサイン入りの本が私の書棚にはある。
ネットの古本でたまたま買ったもの。値段以上に価値があると思っているのは私だけか?
少なくとも私自身が価値を認めている。
この本のなかに絵画の購入のことが書いてある。
自分にとっての価値で良いと思う。
辻井 喬: 茜色の空―哲人政治家・大平正芳の生涯 (文春文庫)
茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯 辻井喬
小学生のころ「アー」「ウー」と物まねされることが多い特徴のある面白い人だと思っていた印象がある。
当時、ニュースは良く見ていた。政治のことはあの当時から興味があったのかもしれない。
ある講演を聴いて改めて宏池会や大平正芳という人に興味をもってこの本を購入した。香川県出身ということも知らなかった。
香川には数回足を運んだが・・・。
次は是非記念館やこの本のタイトルにもなっている燧灘の夕日も見てみたい。
副題にあるように生涯がまとめられたもの。氏の政治への正直な取り組みや姿勢、どうにもならない政治権力・闘争も改めて理解できる興味深い。
以下政治に関してのメモ
「孔子はあくまでも政は正であること、そして政治家はまず自己自身を正すことが根本。」
今現在国会や地方議会どのくらいの比率で正と言える政治家がいるのであろうか?
「たしかに矛盾はある。しかし、それをひとつひとつ解決していくのが現実だろう」
「だんだん社会的な立場が固まってくると反対側に立つ人の意見や感触が摑めなくなってくる、それは危険だ」
「政治の世界が、その大きな部分として権力の争奪という性格をもっているとすれば、それは役人の時代に正芳が判断基準と考えていた合理性や公平性の要素は小さいということである。」
「政治は力で動く、個人の能力など時の流れや社会の構造の変化が民衆の気持ちに及ぼす影響力の前ではものの数ではないのだ。」
「これからの政治家は政策の背後にしっかりした哲学が必要だ、それが弱いと普遍性が持てない。これは外交政策ばかりではなく、すべてについてそうで、この点日本の政治はまだ相当遅れているんだ」
「自分とは異質の才能と同じ目的のために腕を組むことこそ、政治家の真骨頂かもしれないと正芳は考えた。」
「ドイツの政治が常に必要としているのはモラルと思想です。政治とは道徳的な目標を少しずつ実現していくための努力だと思います。(ドイツ シュミット首相)」
「今の僕の一番奥底の目標はどうやったら政界全体の水準を上げてそのことで世の中に民に民主主義を浸透させることができるか、ということなんだ。自分の責任で判断し行動を決めることができる大衆がいてこそ民主主義はいい制度になる。」
それから数十年がたって日本の民主主義はいい制度として機能しているのだろうか?
氏がひとつひとつ解決していくしかないといっているように、投票率の低下以外は、少しずつ良い方向に向かっていると信じたい。
もし、氏が存命で現在の民主主義、政治を観て、燧灘の夕日のように綺麗と感じることができるであろうか?
追伸 この小説に登場する青年会議所出身の議員と財界人がよろしくない。作者の想いか?真実か?(笑)
藤井裕久: 消費増税の真実 「安倍政治」で日本が壊れる!
消費税増税の真実 藤井裕久
過日のブログでも紹介した著者の講演をきっかけに購入。
消費税の増税を一貫して訴えてきた歴史を振り返る本である。
某経済学者がプライマリバランスさえ守れば消費税何ていらない。
諸外国で消費税を目的税にしている国はないという人がいる。
構造改革と民営化で某政権を後押しした人だ。
今回の消費税増税延期に反対されているが、私も反対であった。
子どもたちのために使われることもあったので・・・。
しかも2017年4月に10%への引き上げ景気に関係なく増税をするのである。
経済成長はもちろん大事で歳入増に結び付けることは重要。
しかし、人口減少と人口年齢構成のバランス等をかんがえれば、
増税以外方法はないと思う。
だから2017年には増税するのである。
結局は先延ばし。
景気が低迷している時に増税するバカがどこにいるか?と聞こえてくるが。
景気が高度経済成長のような時代が来るはずもない。
どの予測だって低成長、成熟社会の時代なのだ。
だったらそれに対応した歳入の仕組みを構築しなければならないのである。
これ以上借金を増やすわけにはいかないのは多くの専門家が指摘している。
政局の話も出てくるが、真に実力のある人は残っているように思う。
風で当選した人は風で落選をしている。
県や各市の予算も内示され新聞に掲載されているが、20年ぐらい先は見通して政策を決定してほしいと思う。
政治家の挨拶や政策も次代への責任と政治信念が感じられるものを聞きたいし行って欲しい。
立て板に水は聞いていて虚しい。
F・アーンスト・シューマッハー: スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)
スモール・イズ・ビューティフル
―――人間中心の経済学―――
E・F・シューマッハ
以前から気になっていた本。
過日新聞のコラムに掲載してあったので購入してみることに。
講談社版は1986年の発行であるが、
元はネットで検索すると
Small Is Beautiful: Economics As If People Mattered
(Blond & Briggs, 1973)となっている。
決して古くないと感じさせる本である。
というか著者の警鐘というか提言が現代社会が
まだ受け入れていないし実現できていないからだ。
大量消費を幸福度の指標とする現代経済学と、
科学万能主義に疑問を投げかけている。
また仏教経済学が提唱されている。
先日の仏教と経済活動という話を某会で
一時間話をしたことを思い出した。
ピケティにも通じる部分がある。
どうも本というのはつながる。
点と点をつないで線になり、更にそれが図形になる。
これが学びの醍醐味だと思うのだが・・・。
まさにそのような感じ。
いくつか印象に残った言葉を紹介。
農業の目的
①人間と生きた自然界との結びつきを保つこと。
人間は自然界のごく脆い一部であること。
②人間を取り巻く生存環境に人間味を与え、
これを気高いものにすること。
③まっとうな生活を営むのに必要な食料や原材料を作り出すこと。
開発援助について
最良の援助は、知識の援助であり、役に立つ知識を贈ることである。
ものごとが本当に「身につく」には、血のにじむ努力か犠牲かが必要である。人にモノを与えると、受け手は努力や犠牲なしにそれを手に入れることになる。
大衆に教育を受けさせること
そんなことできっこないとおもわれるかもしれないが、それができないのは宇宙の法則のせいではなく、やらずぶったくりの人たちの、もって生まれた強欲のせいである。実を言えば、この問題には解決の望みがもてる証拠はあるのである。ただし、その解決は政治家にまたなくてはならない。
著者も残念だと思っているだろうが、この本には現代に生かされていないここに取り上げていない素晴らしい提言が詰まっている。成熟社会をいかに生き作り上げるか大いに参考になる。そのためには人を中心にしないと・・・。
トマ・ピケティ: 21世紀の資本
「21世紀の資本」トマ・ピケティ
先般ブログで書いた高価な本はこれ。
しかし宴会に出席すれば一回でこの本ぐらいは使ってしまっているのも事実。
どちらが価値あるかははかれないけど・・・。
流行をおった形での購入。
しかし、読んでよかったというのが正直な感想。
世の中、聞きかじりで批判している人も多いのではないかと思う。
資本課税の提案。
いかに特定の数パーセントのお金持ちが世界の資産の大半を占めているか?
様々な歴史的なデータをもとに現状分析し提案をしている。
はっきり言って正解などないのである。
ただし、ピケティの言っていることは理解できる。
格差をいかほどにおさめるかという問題。
それを決めるのは民主主義でしかない。
しかし、著者がとりあげているようにフランス人権宣言のなかにある一文「社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ、設けられない。」
この考えをもとに現状の格差を批判している。
このままの低成長が続けば、莫大な資産家と労働所得しかない一般人との格差はどんどん広がっていくということ。
この点が資本課税導入の意図。これには納得する人も多いのでは?
これでやっと賛否両論のピケティ論争に自分なりに意見を持てる気がする・・・。
その他法人税や累進課税の所得税についても考えさせられます。
正直相当迷って購入したがチャレンジしてよかったと思う。
V.E.フランクル: 夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録
「夜と霧」ドイツの強制収容所の体験記録V.E.フランクル
心理学者の強制収容体験である。
これは貴重な本だと思うし、一読する必要があると思う。
収容所に入れられた時の収容ショック、収容所生活の心理学、収容所から解放された時の心理学と三期に分けて書かれている。
収容所での生きるための精神のあり方は興味深いし、生と死について考えさせられる。
非常の世界と著者は表現しているが、これは体験した人にしかわからない。
だからこそこの体験記は貴重だ。
普通の人間がするように将来に向かって存在するということはできない。だから収容所における囚人の存在は「期限なき仮の状態」と定義されると、自分であるが本来の自分でないということ。
将来に向かって生きるということができない中でも、生きているし生きる希望を見つけなければならなかったのだということだと思う。
「未来を信じることができなかった人間は収容所で滅亡していった。未来を失うと共に彼はそのよりどころを失い、内的に崩壊し身体的にも心理的にも転落したのである。」ここは重要なところで私たちに示唆を与えてくれる。
生命の意味について、「人生はわれわれに毎日毎時間問いを提出し、われわれはその問いに、詮索や口先ではなくて、正しい行為によって応答しなければならないのである。人生というのは結局、人生の意味の問題に正しく答えること、人生が各人に課する使命を果たすこと、日々の務めを行うことに対する責任を担うことに他ならないのである。」
この一文、皆さんの捉え方は?
吉田 徹: 感情の政治学 (講談社選書メチエ)
感情の政治学 吉田徹
学術書。結構内容も難しい部分もありましたが、政治や選挙を考える上ではとても貴重な一冊でありました。
『自分以外の存在を前提にして行為することが、政治という行為なのである。ここに、政治において感情的次元を考慮しなければならない最大の理由がある。』
『「理性的」判断を下すためには「感情」が必要とされると(エルスター)の論証をあげている。』
『「正解」がつねに流動的たり得るところに政治の存在理由はある。そこで感情が果たすべき役割は欠かすことができない。』と・・・。
ではその感情とは何か?ということであるが一言では言い表せない。
その感情がどのような背景で作用し、変化をする部分となかなか変化をしない部分があることも理解できる。
興味深いデータもたくさん掲載されており勉強になった。
そして選挙についてまたも反省をした。
興味深いデータを一つ。
政治の受容の仕方が、高校生までの間にほぼ完成をみること。政治家がダーティーであり、私利私欲で働いているというのは一般的なイメージだが、そうしたイメージは高校生までにできあがっていることが確認できるそうである。
中高生向けの政治教育が必要だと思うと同時に、家庭の影響がその後の政治選択に大きな影響を及ぼしていることも鑑みその効果は、半減するかもしれないが必要だと思う。
そして信頼がキーワードだということが分かった。
信頼があるから政治選択が変わる。安心した政策があるから信頼関係がます。
どちららが先かという問題があるが、他人への信頼度の高い国々は、国家に対する信頼や、福祉の規模も大きいのは事実のようだ。
以外であったが、日本人は他人を信頼する率は低いようだ。その結果が現在の体制になっているといっても間違いではないさそうだ。
これからどうしていくかが課題である。
藤村 修: 民主党を見つめ直す 元官房長官・藤村修回想録
民主党を見つめ直す 藤村修
元官房長官のオーラルヒストリー。
そもそもこの藤村さんという人をよく存じ上げていなかった。
組合出身の方だと思っていたが、日本新党から政治家になった経歴を今回初めて知った。
そういった面では、この本の中にもあるように野田首相含め保守色の強い政権運営だったことが理解できる。
わたしは鳩山さんを全く評価していない、マニフェストとくに子ども手当26,000円も評価していない。他にもあった・・・。そして実現ができなかった。実現できなかっとことは仕方がないとしても、その政策決定がまったくめちゃくちゃというのが何とも情けないし、憤りを感じる。
民主党の組織運営、ルール作りができていなかったこともこの本からよくわかる。
政権交代はなんだったのか?
これから様々なこうした本により数年後、数十年後に評価はもっと明らかになると思うが・・・。
現在、民主党は次の代表を選ぶまっただ中であるが、個人的には興味がない。
政権交代そのこと自体はあってよかっと思うが、その後ははっきり言ってまずかった。
初めて政権をとったのだから無理もないという評価もあるかもしれないが・・・。
でも、国民(少なくとも小生)の期待を裏切った失望感をどう理解すればよいのか?
これが民主主義というものか?
それとも進化の過程ととらえるのか?
みなさん評価が分かれるところかもしれない。
正直な感想として、この本を読みさらに期待感がもてなくなったというのが正直な感想であるが、個人的には好きでないがプレヤーに小沢一郎という人がいないことがどのように変化をあたえるのか?注目している。
個人的には応援したい人達もいるので、そうした人たちに注目するぐらいしか楽しみはないのか?
かといって全面的に自民党万歳とはいかない。その他の政党もあるがいまひとつ・・・。
わたしと同じような考えの人も多いのでは?と思うが。(苦笑)
藤井 聡: 政(まつりごと)の哲学 (SEIRINDO BOOKS)
政の哲学 藤井聡
連休最終日に勉強会で購入した本。
聞き手の神谷宗弊氏(龍馬プロジェクト全国会会長)の関係する勉強会だったので・・・。
著者の藤井氏は第二次安倍内閣の官房参与です。
内容は政治哲学を歴史や現代の様々な事象を例にとり上げながらわかりやすく政治哲学を解説してくれています。そして何より私たちが何をしなければならないのか?を示してくれています。
自然界が循環をしつづけることによって活きることが可能なように、社会も循環するようにしていかなければならない。そのために個人も精神の循環をしていかなければならいということ。そのために過去の英知である政治哲学が生かすということだと思う。
思考停止の人間を少なくすることですね。
『政治においては、「良いか悪いかを判断する理性」があるのかどうか。そして、そんな理性に基いて「まともな議論が展開されているか」っていう、地味ではありますが、当たり前のことこそが、そしてそれだけが重視されるべきです。』
そういう社会をあきらめずに作っていかないと・・・。
田崎 史郎: 安倍官邸の正体 (講談社現代新書)
安倍官邸の正体 田崎史郎
今年一冊目の新刊。今朝読み終えました。
著者は、テレビでコメンテーターとしてもおなじみの時事通信社解説委員の田崎史郎さん。
実は、田崎さんとは時事通信社の食堂でコーヒーをごちそうになりながら話を伺ったことがある。当時日本JCの近現代史プログラムがある一部の方面から取り上げられた時に、ご意見を伺いにいった。
さて、本の中身であるが、官邸というものがどのように機能しているか?
日頃私たちの知り得ない内容がかかれている。
もちろん安倍さんについて様々な分析がされているが、菅官房長官の件は興味を引く。
そして秘書官や各省の官僚とのやりとりなどなかなか面白い。
この本を読んで本当に参考になる一文があった。
もちろん秘密。
これは大きい。この点を意識して今後の行動をしっかりとっていきたい。
「指導者とは」リチャードニクソンの著書が多く引用されている。
私の4月か5月のブログにも出てくる。
もう一度読みたいと思って本棚を捜索。
何度見てもみつからない。もっと大きい本だと思っていたからだ。
文庫の大きさで見つけて苦笑い。
赤線を引いてあるところをいくつか拾い読みをしたが、かなり刺激的な文章だ。
今回はこれを再読することにした。
今日もたくさんの人と会いました。
様々なご意見を頂きますが、自分の決めた人生を歩みます。
安倍首相も人と会うのが楽しいと書かれていましたが、それを実感した一日でした。
あすからも頑張ります。おっと、別件も頑張らなければ・・・。
ハーマン・デイリー: 「定常経済」は可能だ! (岩波ブックレット)
「定常経済」は可能か? ハーマン・デイリー
成長しない経済を定常経済というのだそうだ。
確かにエネルギーや人口、地球環境問題を考えれば、ある一定の枠を超えてはならない。
提言されていることで、納得できる部分もあるが、世界各国の同意がえられるのか?といったら難しいだろうし、各国内で少なくとも半数の人がこの考え方に賛成ともいかないと思える。
特に所得の再配分機能について納得がいかない。
経済成長神話にとらわれているわけではないが、この考え方が世の中主流にはならいと思う。現時点では・・・。
読売新聞社: サダト・最後の回想録 (1982年)
サダト・最後の回想録 アンワル・エル・サダト
ウキぺディアより簡単なプロフィール抜粋。
ムハンマド・アンワル・アッ=サーダート(1918年12月25日 - 1981年10月6日)は、エジプトの軍人、政治家。共和政エジプト第3代大統領(第2代アラブ連合共和国大統領、初代エジプト・アラブ共和国大統領)。また首相を2期務めた。
コヴィーの「七つの習慣」に取り上げてあったので、ネットで古本を購入。
あと15日でわが国の石油がなくなる。
その時のトップの判断をするエネルギーそして決断力、判断をするための知見、情報力などなど、自分がその身におかれたら?とイメージをふくらましながら読み進めた。
トップに立つ者の孤独さや勇気様々なものが頭をよぎった。
サウジアラビアのファイサル国王の英知を評した一文がある。
「国王は、歳月を積み重ねた体験によってその人格を洗練されていった。だが、なによりも国王は、高潔と誠実を体現されていた。高潔、誠実、徳行を持たない人間にとって、歳月をかけた体験を積んでもいったいなんになるであろうか-。」
優れた指導者とそうでない場合について
「自分の信念を明言し、対応策を打つだけの勇気がなかった。優れた指導者とそうでないものとの違いは、ここにある」
「真の世界的な指導者は強固な決意と、あふれるような勇気を持っている。」
肝に銘じておきたい言葉だ。
そして平和について
「私はかつて、平和へのプロセスの基盤はだれもくつがえすことはできない、といったが、このことばは、いまも正しいと思う。アラブ諸国からの挑戦を受けたさいも、エジプトは断固として平和の道を守り抜いた。」
面白い本であったというより、トップやリーダーを目指す人間、政治家(目指す人間)は読んでおいて損はないと思う。
田村秀: 自治体崩壊 (イースト新書)
自治体崩壊 田村秀
新潟大学の教授ということもあり新潟県内の事例に詳しい。
こうした本を読むたびに今までの地方振興策というものは何だったのか?
もしかしたら永遠に反省もされず、お金だけが今後も投入されていくのでは?と不安に思ってしますし、かつては予算を引っ張ってくるのが政治家の仕事のような時代もあった。
いつ反省して、人口減少社会に向けた地方のあり方と考えていくことが重要。
地域の皆さんが中心で息の長い地域振興・まちづくりを考えて行かないと・・・。
地域の良さや宝を再発見する。そのまちをどう創り上げるか徹底的に議論しないと・・・。
学べば学ぶほど困難な道筋が見えてくるが、解決策をまちの人と見つけることができれば可能性はあると思える。
地方自治体だけではどうにもならない面もあるし、このまま次世代に借金を先送りすることはできない。
若者は、世代間の不満を投票という行為で改善しないと中高年の人たちだけが充実する社会がつづき、残るのは借金だけと気づくべき。
それをもっと周知していかないと・・・。
これが今年最後の本となると思う。
来年は、新刊はほどほどに本棚の本を読み返すことに重点を置きたい。
そして自分なりにレポートとしてまとめる課題を自分に課したい。
アダム グラント: GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
GIVE&TAKE アダム・グラント
本書によれば人間に3つのタイプがある。
ギバー(人に惜しみなく与える人)
テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)
マッチャー(損得のバランスを考える人)
これらのタイプ別の活躍度合いを科学的データにもとづき分析した詳細が示されている。
あくまでも絶対ではなくて傾向的な話と捉えてほうがいいと思うが、個別の事例を読むと納得(特にギバー)についてはそう思う。
私もこれからはもっと利他の精神でいきていきたいと思う次第です。(笑)
こうした研究がなされるのはアメリカ的なんだろうな?
日本なら道徳的な感動話として取り上げられるだろうと思う。ビジネス書としても同じだと思うが・・・。
ここがアメリカと日本の違いかな?と思いつつ・・・。
そんな折、ネットニュースで
「黒田 悩み抜いて男気の決断 メジャー21億円より4億でもカープ愛」という記事を見た。
これって究極のギバーではないだろうか?と思う。
金銭的にはこの差額をこれからの人生でうめることはできないかもしれないが、ファンや日本人から別の形で称賛を浴びると思う。
「お金で買えない価値がある。」
あれどこかで聞いたようなコピー?(笑)
そのようなことを考えると今年一年多くの皆様に沢山のものを与えて頂きました。
これから皆さんに恩返しをしなければならないことが・・・。
今日は内輪の忘年会。
今年一年の感謝の意を伝えたいと思います。
今井 幹夫: 富岡製糸場と絹産業遺産群 (ベスト新書)
富岡製糸場と絹産業遺産群 今井幹夫
第二の書斎(ト〇レ)で読み続けていた本。
(今井先生には申し訳ないのですが・・・)
富岡製糸場の歴史が良くわかります。
富岡市内の家庭に一家に一冊あってもいい本だと思います。
杉田 敦: 政治的思考 (岩波新書)
政治的思考 杉田敦
多分このブログの読者でもなかなか購入しないと思われるタイトル。
こうした本は売れないんだろうな?(実際はわかりませんが)
政治ってやはりこうなんだろうなと思う本。
時間はかかるし、議論をするしかない。
改革すれば何もかもよくなるわけではない。
「権力を一方的に行使されているという考えをやめ、権力過程の当事者であるという意識を持った時に、すなわち、責任者はどこか遠くにいるのではなく、今ここにいると気づいたときに、権力のあり方を変えるための一歩が踏み出せるのである。」
人に責任を押しつけるのではなく、あくまでも自分。
「自由を求めることのうちにこそ、自由の重要な本質がある。自由を求め続けるからこそ、政治が必要になります。そして、政治が存在している限りで、自由は実現しているのです。自由の必要性を否定したときに、政治もまたなくなる。」
ただ与えられているわけではないんですよね。
政治的思考にとって大事な事。
①さまざまな価値観にかかわるもの、多様な価値観の間の調整こそが政治だということを理解する必要がある。
②他の人との距離の感覚。皆が自分と同じようなものだと考えてはならない。
③複雑で先を見通せない不透明の世界の中に、政治はあるということをいつも考えなくてはならない。
あらためて思うこと、中学や高校で政治(シチズンシップ)を教える必要がある。
若い人の投票率をあげるためにも・・・。
たまたまツイッターからドイツの取り組みを知ることができたが、参考になると思う。
http://agora-web.jp/archives/1625051.html
フロイト: 人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス (光文社古典新訳文庫)
人はなぜ戦争をするのか フロイト
「人はなぜ戦争をするのか」ほか短編。
途中で断念。
「共同性の感情のおかげで、対立を短期間に解決しようとする気持ちが生まれます。その場合には、対立が平和的な方法で解決される可能性が絶えず高まるのです。」
共同性の感情が大事。
そして人間の欲動には2種類があると・・・。
①生を統一し、保存しようとする欲動
②破壊し、殺害しようとする欲動で。
それを抑えるのが愛する対象との絆と同一化(一体感)だと。
心理学的には文化の二つの特徴がある。
①知性の力が強くなり、欲動をコントロールし始めたこと。
②攻撃的な欲動が主体の内部に向かうようになり、これがさまざまな好ましい結果をもたらすとともに、危険な結果をもたらしている。
結論は文化の発展がもたらすものはすべてが、戦争を防ぐように機能することはできるでしょうと・・・。
人間は攻撃的な面を持っていること、これが文化で抑えることができるということ。この文化が世界中で発展しないと・・・。
戦争と死に関する時評
喪とメランコリー までは読了。その後断念。(笑)
小黒 一正: 財政危機の深層―増税・年金・赤字国債を問う (NHK出版新書 449)
財政危機の深層 小黒一正
最近注目してる新進気鋭の学者。法政大学の准教授。
以下データ等のメモ。
日本の一般会計予算
歳入 96兆円(税収50兆円、その他4,6兆円、公債金41兆円)
歳出 一般歳出56.5兆円、地方交付金等16.1兆円、国債費23.3兆円
実質の予算規模220兆円から240兆円
国債費と保障関係費の支出だけで170兆円(約72%)
国債費 91,4兆円(39%)
社会保障関係費 73.6兆円(33%)
地方交付税交付金 19.2兆円( 8%)
財政投融資 17,3兆円( 7%)
その他 30,9兆円(13%)
公共事業関係費7.1兆円 文教科振費5.6兆円 防衛関係費4.9兆円
公共事業費は3%、子ども一人あたりの学校教育費中位、GDPに占める公的な教育関連費は3.8%で、加盟国中最下位。
低福祉・超低負担の国
社会保障費以外の支出は「超低水準」よってこれ以上の削減はもはや不可能
OECDの諸国の租税負担率(対国民所得)
日本租税負担率22.7% 社規保障負担率17,1% 39.8%
2014年度末、国債残高780兆円、借入金、政府短期証券など加えると1144兆円
社会保障費 84兆円(2003年) 110兆円(2013年)
平均すれば年2.6兆円の増加。
日本の実質GDP成長率は2003年から2012年における平均値は0.82%
アメリカは0.96%、フランス0.45%、ドイツ1.31%、イタリア-0.67%
イギリス0.64%、オーストラリアが1.4%
先進主要7か国のうち4番目
1980年代 4.3% 1990年代 1.5% 2000年代 0.7%
経済成長の源泉は3つある。
「技術進歩による生産性の向上(TFP)」
「資本ストック(生産設備や情報機器など)」
「労働力(労働人口×労働時間)」
少子高齢化・人口減少が急速に進む日本において「実質GDP成長率」は必然的に低下しやすい。
歳出削減をあきらめてはならない。消費増税のみで財政を安定化しようとすると、将来的な消費税率は30%を超えてしまうからだ。
消費税率1%分による税収アップは約2,5兆円から2,7兆円といわれている。
5%増税で調達できる財源は約13兆円。社会保障給付費は毎年約3兆円の伸び、ほんの4年で増収分を追い越してしまう。
社会保障給付費 ここ10年で平均2,6兆円の伸び。
110兆円(年金50兆円、医療費35兆円、介護9兆円など)2013年
社会保険料収入が約60兆円、資産運用収入が10兆円、
残り40兆円は公費(国30地方10)
世代間格差
国民が生涯を通じて、政府に対してどれだけの負担をし、政府からどれだけの受益を得るか?
60歳代以上世代は、約4000万円の受益超過、
50歳代は約990万円の受益超過
40歳代で-172万円
30歳代で-833万円
20歳代で-1107万円
将来世代は約8300万円もの支払超過。
ボストン大学のローレンス・コトリコフ教授はこれを「財政的幼児虐待」という。
個人的なまとめ。
増税と歳出の削減を同時に進めること。
この割合は議論の余地あり。
社会保障費関係支出の削減をしなければならない。(保険料の負担も増やすことも同時に検討)
長期の試算を正確に試算し、国民に徹底すること。
将来世代への負担の先送りを善処する方策を考えること。
それができる政治家を当選させること。
自分のことしか考えない人を利他の精神あふれるように教育する事。(永遠の課題)
消費税率の公平性と軽減税率は所得分配機能を低下させ、結局は将来への負担のつけ回し。
読後、ストレスがたまった感じ。(笑)
プラトン: プロタゴラス―あるソフィストとの対話 (光文社古典新訳文庫)
プロタゴラス プラトン
徳(アレテー)についてソクラテスとプロタゴラスとしての対話。
アリストテレスは、「よいものとは快楽であり、悪いものとは苦痛である。」という快楽主義と、知識は人間の行為を律する強力な力を持つという主知主義的な考えを持ち出す。
大衆が、〈快楽に征服される〉ことだと思っていた現象は、じっさいには計算間違い(つまり無知)にほかならないと・・・。
人間が幸福に生きるためには、快苦の量を正しく計算する「計量の技術」であり知識であると。
この中でシモニデスの詩が取り上げられている。
その一部分、
「みっともないものが混じっていなければ
どんなものでも、たしかに立派なのだ。」
「ひとかけらの欠点もない人間を見つけたら、あなたがたに知らせてあげよう」
中庸的な考えだと思った。
幸福に生きるための計量の技術とは、偏らない知識が必要であること。
そんな完璧な人間はいないが、みっともないものが混じっていなければよいのであると・・・。
いい加減?(笑)
乙武洋匡: 社会不満足 ―乙武洋匡 対談
社会不満足 乙武洋匡 対談
駒崎弘樹
小室淑恵
堀 潤
東 浩紀
古市憲寿
開沼 博
津田大介
家入一真
各氏との対談。2名は存じ上げなかった。
若手でそれぞれの分野で活躍されている方々。
それぞれ気づくところがあるが、信念がやはり重要。
乙武さんが都知事に出馬したら本当にいいなと思う。
東京オリンピック時に知事就任していたら日本の素晴らしさを世界に相当な影響力をもって発信できると思う。
物事を変えるにはまずその内側に入ってしっかり事情や空気感をつかんでおくというのが重要という東氏に意見には納得。
そして今の政治には現在があるが未来がない。
未来に生きる人々の利益はいったい誰が代弁するのか?
乙武さんや東さんの意見には大いに賛成。
以前にもブログに書いたことがあるが、私が選挙で負けたあとにある女性に言われた言葉がまさにこの未来の話。それなりに立場のある方が、「未来のことを言ったてだめよ。今のこと言わないと」と言われたことを思い出した。
将来へ負担をつけまわしている社会状況を良いとは思わない。
それははっきり言える。
一気に変わることは考えられないが、しぶとく訴えていく必要がある。
プラトン: メノン―徳(アレテー)について (光文社古典新訳文庫)
メノン ― 徳(アレテー)について プラトン
徳(アレテー)についての対話形式の問答。
徳とは何か?ウィキぺディアには下記の記載がある。
徳(とく、希: ἀρετή アレテー, 羅: virtūs, 英: virtue)は、人間の持つ気質や能力に、社会性や道徳性が発揮されたものである。
徳は卓越性、有能性で、それを所持する人がそのことによって特記されるものである。人間に備わって初めて、徳は善き特質となる。人間にとって徳とは均整のとれた精神の在り方を指すものである。これは天分、社会的経験や道徳的訓練によって獲得し、善き人間の特質となる。徳を備えた人間は他の人間からの信頼や尊敬を獲得しながら、人間関係の構築や組織の運営を進めることができる。徳は人間性を構成する多様な精神要素から成り立っており、気品、意志、温情、理性、忠誠、勇気、名誉、誠実、自信、謙虚、健康、楽天主義などが個々の徳目と位置付けることができる。
こういったものだと思うのだが、いかにして徳ある人になるのであろうか?
この本の中にもあるように徳は教えられるのだろうか?徳を教える先生がいるのか?
知識として区分をしていいのか?
上記にある気品、意志、温情、理性、忠誠、勇気、名誉、誠実、自信、謙虚、健康、楽天主義これをいかにして皆さんは獲得していますか?
先祖代々から受け継いだ?
学校で学んだ?
社会生活で身についた?
社会の中でお手本や反面教師がいるからか?
みなさんの答えはいかに?
それがこの本です。(笑)
シェイクスピア: ジュリアス・シーザー (光文社古典新訳文庫)
ジュリアス・シーザー シェイクスピア
光文社の古典新訳文庫版、読みやすい。
元々短く薄目の本だが・・・。
一番引き込まれるところは、シーザー暗殺直後のブルータスとアントニーが群衆に向かって演説をする処である。
なぜブルータスはアントニーに発言の機会を与えたのか?
ここも一つ疑問に残るところである。
政治家の演説としても面白いと思うが、核心は解説に書いてあるところだと納得をした。
『現代日本の「劇場政治」を連想せずにはいられない事態だが、ここで重要なのは、しかし、必ずしも大衆の愚かしさそのものでも、政治家の「演技」のいかがわしさ自体でもない。肝心なのは、むしろ、こうした情況が生み出す根本的な価値の不確定性、恣意性である。』
衆議院選挙まっただ中ではあるが、価値の不確定性や恣意性などをうむような情況になっていない。
考えない国民が悪いのか?
投票へ行かない人が悪いのか?
選挙制度は問題なのか?
理念なき離合集散を繰り返してきた野党が悪いのか?
それでも政策を聞き自ら判断し投票へ行くしかない。
それが民主主義。
義務を果たしての権利です。
投票には行きましょう。
清水義次: リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法
リノベーションのまちづくり 清水義次
リノベーションまちづくりは遊休化した不動産という空間資源と潜在的な地域資源を活用して、都市・地域経営課題を複合的に解決していくことを目指すものなのです。
これが行えるかどうかは、遊休化した不動産が密度高く存在しているエリアを選ぶことが基本。
そうしたスモールエリアを一つのビジョンで総合的に動かしていくことをエリアプロデュースと呼ぶ。
「敷地に価値なし、エリアに価値あり」
手法は現代版家守として紹介してある。
二つの必要センスとして、自主・自立する事業センスと、民でもあり公でもあるという「コモンセンス」
キーポイントは不動産オーナーにまちづくりに参加してもらうこと。
官民の役割をお互いが再認識すること。
もう補助金や助成金をあてにして事業計画を考える時代ではないこと。
小さく生んで大きく育てる。
リスクを負い5年計画をしっかり立てる。
ストーリーやビジョンをしっかり描くことでしょうね。
官設立のまちづくり会社はほとんど成功していないという事実。
民でしっかり立ち上げることですね。
スピノザ: 国家論 (岩波文庫)
国家論 スピノザ
君主制そして貴族制、最後に絶対統治の民主国家について書かれている。
スペース的には民主国家は最後の数ページ。
なぜ古典を読まなければならないのか?
どうしてそのように考えるのか?
根本を考えさせてくれるからだと思う。
今から貴族制になるとは考えられない。
そっくりお手本にするわけにはいかないが、やはり参考になる。
いくつか気になった点を・・・。
「人類に固有なものとしての自然権は、人間が共同の権利を持ち、住みかつ耕しうる土地をともどもに確保し、自己を守り、あらゆる暴力を排除し、そしてすべての人々の共同の意思に従って生活しうる場合においてのみ考えられるのである、と」
「国家状態の目的は生活の平和と安全とにほかならない。したがって、人間が和合して生活し、そしてその法が侵犯されることなく維持される国家が最善の国家なのである。」
「すべての法が王の明示された意思である、という制度にされるのはよいが、王のすべての意思が法である、という制度にされてはならない。」
「国家の善悪を除去しようと努める者は、国家の本性に調和するような、そして国家の諸基礎から導きだされるようなそうした対策をほどこさねばならない。そうでなければ彼は一難を避けようとして他の一難に陥ることになろう。」
「独裁官の権力は、絶対的なものであるから、すべての人にとって恐ろしくないはずはない。独裁官が、人々の要求するとおり、定期的に選ばれる場合にはことにそうである。なぜならそうなれば、およそ名誉心に駆られる者はこの英位を得ようとあらゆる努力を持って策動するからである。(中略)最も傲慢な者が最も容易に栄位を獲得することになるのである。」
「最後に私は第三の国家、完全な絶対統治の国家へ移る。これを我々は民主国家と名づける。」
理性について考えさせられる場面が多々でてくる。これも考えさせれるし印象深い。
プラトン: 饗宴 (岩波文庫)
饗宴 プラトン
愛(エロス)について酒を飲みながら語り合う。それがタイトル。
原題は「シュンポシオン」とは「一緒に飲む」ということ。
愛の奥義に至る正しい道。美の梯子とも言われる部分。
「一つの美しき肉体から二つのへ、二つのからあらゆる美しき肉体へ、美しき肉体から美しき職業活動へ、次には美しき職業活動から美しき学問へと進み、さらにそれらの学問から出発してついにはかの美そのものの学問に外ならぬ学問に到達して、結局美の本質を認識するまでになることを意味する。」
そして、「美そのものを観るに至ってこそ、人生は生甲斐があるのです。」
この美とは一体何か?
ここをもう一度読まないと・・・。
山野 良一: 子どもに貧困を押しつける国・日本 (光文社新書)
子どもの貧困を押しつける国・日本 山野良一
過日も子どもの貧困についての本を紹介した。
今回も読んでみて同じような感想をもつ。
貧困の事実をデータで知ること。
実際の子どもたちの声を聴くこと、想いによりそうこと。
家が面倒見るか社会が面倒をみるか?という問題も日本では大きな問題になる。
日本ならでは「家」意識が強い。
社会で育て貧困の連鎖をなくすことによって将来的には社会的コストが減る。
しかし、どこまで子どもたちに現金・現物を支給すればいいか?ここに正解は無いと思われる。ここは議論で決めていくしかないのである。
また、離婚でシングルマザーになったのと不慮の事故等でそのような境遇になったのでは、世間の目も違ってくるのも事実だと思う。
最も子どもには何の責任はないのだが・・・。
この子どもには責任がない点、これが社会で子どもを育てる、支援をしてあげる理由だと思う。
離婚後、子どもの養育費を払っている人が2割ぐらいだという。
養育費を払わない所得がある人からは一定の金額を税金として徴収するシステムを設けて、それをこうした子どもたちのために使うこともありだと思う。
年金や国民保健の問題、保育と育休、生活保護や就学支援など問題も多い。
一度、子どもの貧困については自分なりにまとめておきたいと思う。
子どもたちの歓声を聞きながらこの原稿を書いている。
保育に関しては3歳から5歳への投資が世界の中でも最低な国なのである。
経済成長だけでは解決できない問題は沢山ある。
政治家の皆さんに頑張ってほしいし、あしなが育成会元奨学生である下村文部科学大臣の存在が多きこともこの本のなかから理解できる。
アレックス・カー: ニッポン景観論 (集英社新書)
ニッポン景観論 アレックス・カー
住まいを亀岡市とバンコクに持ち多様な仕事をされている外国人から見た日本の景観論。
写真やモンタージュ写真によって景観にについて大変わかりやすく解説されている本。
電柱や電線がいかに景観を壊しているか?
電線地中化は公共の仕事、外国では電力会社の仕事。
この辺から考え方が違うのだと思う。
また看板については私も大賛成。
日本は看板天国。違法看板も多い。
高さ制限や色、エリアに基準など再考必要性ありですよね。
コンクリートの公共事業。
それ自体を批判しているわけではないが、自然や景観との調和を考えるべきと・・・。
また古いものや何もない魅力を再認識し価値を認め価値の創造までつなげていくことの大切さを指摘しています。
自ら再生にかかわった事例も大変面白い。
改めて思ったことは中途半端なリノベーションではだめ。
観光産業を育てるにはやっぱり本物を見て触って感じてもらうことだと思う。
私は、それプラス人だと思う。
富岡の街中のエリアをどうみんなで魅力あるまちにするか?
それは大型バスで決められた時間だけ滞在する人をターゲットにするのではなく、長時間いてもらえる家族連れや外国人に狙いをさだめるのが良いと思う。
回遊型だ。観光はこれからの大きな産業であることはこの本を読んでもよくわかる。
富岡は資源に恵まれていると思う。
小川 仁志: 闘うための哲学書 (講談社現代新書)
闘うための哲学書 小川仁志×萱野稔人
22冊の哲学書をもとにした若手哲学者の対談。
すべて名著ということでしょう。
私も持っていない本が半部位。
いくつか選択して読んでみようと思います。
また、書棚の本を読み返す必要も大いに感じました。
しかし、新しい本に誘惑されるのもこれまた事実。
こうした行動を批判されている読書論の本もいくつもある。(笑)
でもやっぱり古典を読み込む必要性を感じます。
一番印象に残った章は「正しい戦争と不正な戦争」マイケル・ウォルツァーを取り上げたところ、正しい戦争はありうるのか?という問い。
これはかなり難しい問題。
二人の論議からもその点は良く理解できる。
集団的自衛権を考えるにはとてもいい議論だと思った。
原書を読んでみたいと思った。
二人が指摘しているように社会の中でこうした哲学が生きるというか活用される社会が理想に思う。古典を読み現実社会を見て議論し考えをまとめ選択しまた議論を重ねる。そうして良き社会は徐々に出来上がっていくように思うのだが・・・。
篠原 匡: おまんのモノサシ持ちや!
おまんのモノサシ持ちや! 篠原匡
土佐の反骨デザイナー・梅原真の流儀という副題。
この本を知ったのは、富岡の街づくりグループ?団体?の会合のときに隣に座った市の職員の方が持っていた。タイトルと著者名をメモしておいた。
最近そのメモ帳を開き、そういえばと早速注文。
ここのところ古本率が高くなっている。
まあ、出来るだけ評価の良いものを選択しているが・・・。
内容は一人のデザイナーにスッポットをあてたものであるが、その仕事を通して、いかに地域に魅力を輝かせる?そしてそれを経済的に成り立たせるかという事例とヒントが沢山隠れている。
そしてやっぱりデザインの重要性を感じました。
こうしたものにお金をかけることに批判はありますが、私はいいモノを選びたいし、いいモノは決してあきないし、愛着がわくものである。ものが本物であることは言うまでもないが・・・。
自分のモノサシを持てということは、「ないものに憧れるのではなく、自分の価値観を持って、目の前のものを評価する」ということと同義であると・・・。
豊かさとは自分のモノサシを持つこと。
いいことばですね。
「グローバル化が後退することは決してありませんが、グローバル化が進むほど、ローカルが持つ文化や伝統、多様性の共存といったことがより重要になる。社会はより文化や多様性を認める方向にシフトし、経済はローカルにある資源をローカルの手で活用して行く時代が訪れる。」
この国では内需振興が常に叫ばれているが、内需の厚みとは、無数の小さな経済圏が重層的に成立いるということではないだろうか。とエピローグにあった。まさにそうですよね。一時の公共事業や金融政策では作れない小さな経済循環をつくれるようにすることだと思いますね。そうした地方再生であってほしいですね。
トータルの夢、ビィジョンがないと梅原さんはいうが、木村俊昭さんが言うストーリーと同じ考え方だと思う。
そしてこれが今の富岡の課題だと思う。
半藤 一利: 日中韓を振り回すナショナリズムの正体
日中韓を振り回すナショナリズムの正体 半藤一利・保坂正康
ナショナリズムを国家ナショナリズムと庶民ナショナリズムと分けている考え方が興味深い。
国家ナショナリズム(上部構造)
国策の基準
・国益の守護
・国益の伸長
・国威の発揚 など
庶民ナショナリズム(下部構造)
民草の基準
・生活倫理、規範
・自然との共生
・死生観の確立
・伝統文化の継承 など
時としてこの下部構造が上部構造に利用されやすい。この点は良く頭の中に叩き込んでおきたいと思った。
歴史教育はもちろん自国の歴史観を教えていいと思う。この中にあるように相手の国の意見も両論併記すればいい。事実を教えて考えさせることだと思う。年号とその事項だけ覚えて何の意味もない。
また集団的自衛権の解釈改憲や9条のことも話題になっている。
平和憲法の解釈もぜひ読んでもらいたい。
そして中国や韓国がなぜ反日なのか?ということなども・・・。
お二人の意見にすべて賛成ではないが、この本の中にあるようにインターネットは自分の思想にあったものだけの情報を選択しがちである、別の考え方を、本を通して学ぶことの重要性にふれられている。全く同感。
先ずは事実を知ることから始まり様々な考え方を見聞し、自分の〇〇観というのを築き上げるべきだと、あらためて感じた。
阿部 彩: 子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)
子どもの貧困Ⅱ 阿部彩
子どもの貧困の状況がデータをもって示されている。
その貧困がどのような影響を及ぼすか?という点にも触れられている。
最終的には筆者の貧困対策についての考えが示されている。
正直この問題は難しい。
もちろん貧困の連鎖を断ち切らなくてはならないと思う。
どの程度まで現金や現物のサービスを提供してあげればどこまでその貧困が改善されるか?いうのはなかなかデータを得ることができないと思うが、この本の中にもあるが最低限、食べて学びそして学習意欲を保ち学校へ通えるようにしてあげたいと思うのは皆さん同じではないか?
ただどこまでいつまでというのも難しい問題だと思う。
そもそもなぜこうした子どもたちが増えていっているのか?
また、就労する時点の問題も大いに改善する必要もあると思う。
今では、大学卒で非正規社員と聞いても驚かない時代である。
こうした問題はその価値観によっても解決策が違ってくるので100%みんなが納得することはできないし、支援策を行ったとしても100%問題は解決しないからである。
私はこの本を読んで思ったことは、現実のデータをもっと知らしめることが必要だと思う。そしてこの問題を考えてくれる人を一人でも増やすことだと思う。
そうした動きをしないと感情論で話が発展しないと思う。
せっかくなのでデータを載せておきます。
●就学援助費(義務教育にかかわる給食費、学用品費、修学旅行費、PTA会費など)の受給率は15.6%(金額は市町村によって違う)
●一人当たりGDPが31,000ドル以上の国で、日本は20か国中4番目に子どもの貧困率が高い。
●ひとり親世帯に育つ子どもの貧困率は58.7%(OECD諸国内で最悪)
●親の学歴別こどもの貧困率 親の学歴が中卒45%、高卒22%、大卒以上8%
●母親の学歴が子どもの学歴に影響し世代間の「継承」が年々強まっている。
現実的には、ある程度の現金給付と子どもが一人で過ごす時間を減らすこと、よりそう大人が学習支援や生活支援をしてあげられる体制を作ってあげ、貧困の連鎖を防いであげること。その度合いはみんなで議論するしか解決策はないのである。そのためにはまず現実を知ることから何かを気づくことだと思う。
トニー・ブザン: ザ・マインドマップ
最後の方は飛ばし読み。
何だかアイデアが出てきそうな予感。
脳は無限の連想マシンだそうだ。
マインドマップを使ってみようと思う。
さて結果はいかに?
使い方も様々でてくるので活用法はたくさんあるでしょう。
図やイラストに表すのは苦手だけど・・・。
この本に書いてあるようにまず苦手意識を取り除くことからからですね。
創造的思考ができますように。
古賀 茂明: 国家の暴走 安倍政権の世論操作術 角川oneテーマ21
国家の暴走 古賀茂明
著書は元経産官僚他に著書があるので知っているは多いと思う。
軍事立国への暴走を懸念している。
武器の輸出が日本経済を支えるような構造にならないかを心配しているし、何と言っても戦争できる国に向かっていることを懸念している。
経済政策もすべてを否定しているわけではないが、具体策を求めているところは私達一般人も同じだと思う。
金融政策によってなんと持たせているという感じだろうか。
経済成長を否定るわけではないが、昔のように経済成長は無理があるが、だからといって成長戦略を描けなければ国際社会の中では、国民の安心安全な生活は築けない。
経済成長がないと、結局は弱者への所得再分配がうまくいかず、不安定な社会になりかねない。そこで、「弱者への配分と国際競争力とのバランスを、いかにうまく取っていくかが、日本の大きな課題だ。」と・・・。
この本にも書いてありますが、皆で今の生活で満足してゆっくり暮らしていこう。というような考え方もありますが、グローバル社会の中ではそれは無理だと思います。どんどん貧しくなっても構わないのならいいのですが・・・。
でも、経済が安定しないと国家がどうなるかは?他国を見ていればわかります。
けして、無駄な消費をする必要はありません。
バランスの良い成長。成熟社会の安定を目指していくしかこの国の歩む道はないと思います。
安倍さんへの批判はそれぞれです。詳細は読んでください。
この本に四つのパターンがかかれています。
①守旧派・タカ派、②守旧派・ハト派、③改革派・タカ派、④改革派・ハト派
皆さんはどちらのタイプでしょうか?
もちろんすべてがピタリあてはまるということはないでしょうが・・・。
これからどのようなタイプの政党が伸びていくか楽しみです。
もちろん同じ党の中にも4パターンが混在している場合もありますが・・・。
ジョセフ・S. ナイ: 大統領のリーダーシップ
大統領のリーダーシップ ジョセフ・S・ナイ
タイミングが良いのか?アメリカの中間選挙が終わった時点で読み終えた。
特別意識をして読み始めたわけでもないのだが・・・。
感想とすれば、その時代背景が良くわかっていないと判断というか理解をしにくい部分があるなと思った。歴史を知らないということですね。
今回中心に取り上げられているのは、次の八名。
T・ルーズベルト
タフト
ウィルソン
F・ルーズベルト
トルーマン
アイゼンハワー
レーガン
ブッシュ(父)
名前を聞いた時点でその時何がおこっていたかわかる人はこの本を理解しやすいと思う。
私は残念ながら・・・。
まず、アメリカを「卓越性(プライマシー)」がある唯一の国としているところに興味を持った。自国をあらわす言葉。日本は何だろう?
肝に銘じておきたい言葉
フォロワーに対するごまかしをたくさん使えば使うほど、リーダーは信頼を失い、制度を脆弱にし、有害な前例をつくる。
そして中庸が出てきた。
『リーダーは国際システム全体におよぶ影響だけでなく、複数の社会の内政の複雑さも理解しなければならない。この追加の複雑さゆえに、アリストテレスの中庸(プルーデンス)の徳―――過剰と不足を避けること―――が特別な重要性をもつのである。』
この中庸の徳を持たないと・・・。
古市 憲寿: 絶望の国の幸福な若者たち
絶望の国の幸福な若者たち 古市憲寿
このタイトルきわどいけど現実はそうかもしれない。
そうなって欲しくないけど・・・。
著者の新刊「だから日本はズレている」の本にも載っていたのだが、内閣府の「国民生活に関する世論調査」によれば、2011年の時点で20代の70.5%が現在の生活に「満足」していると答えている。
また、2010年の調査では「日頃の生活の中で、悩みや不安を感じているか」という質問に20代の63.1%が悩みや不安を感じているという。
半数以上の若者が、自分のことを「幸福だ」と感じながら、同時に「不安だ」と思っているのだ。
そして政治に興味はないわけではないが、投票には行かない。
こうした疑問を解くカギとして、元京都大学教授の大澤真幸の見解を参照している。
自分がこれ以上は幸せになると思えない時、人は「今の生活が幸せだ」と答えるしかない。つまり、人はもはや将来に希望を描けない時に、「今は幸せだ」「今の生活が満足だ」と回答するというだ。
データを説明するのには、妙に説得力があると思う。
そして、『まるでムラに住む人のように、「仲間」がいる「小さな世界」で日常を送る若者たち。これこそが、現代に生きる若者たちが幸せな理由の本質である。』と生きがいを感じるときは「友人と仲間といる時」の高比率を解説する。
デモやボランティアなどに参加する若者の活動は、閉塞感を紛らせるための表現活動だったり、承認を求めるための「居場所」探しという毛色が強い。そしてそれでいいと著者はしている。
世代間格差について私も取り上げることがあるが、議会制民主主義を採用する日本において、社会問題を世代の問題にしてしまう限り、若年層に勝ち目はないからだ。とは選挙を振り返り様々な想いがよぎる。
『雇用対策や社会保障の充実は「若者」がかわいそうだから必要なのではない。日本という国家のたまに必要なのだ。だから本当はナショナリストこそ、雇用対策、少子化対策、社会保障の充実を要求すべき』の部分はごもっともなことだと感じる。
著者は、幸せの条件を、「経済的な問題」と「承認の問題」と二つに分けて考えている。
経済的には20代では給与格差がでにくい、親と同居している人も多く生活満足度は高い。本当の「若者の貧困」は10年後20年後に若者でなくなった時に、今の若者時代の問題がでてくるということ。
未来の「貧しさ」よりも、今現在の「寂しさ」の方がおおくの人にとっては切実な問題。だから仲間の承認を求めていると・・・。
現状が続けば、日本中の人が年齢に関係なく「若者化」する時代、その過渡期にいると・・・。
何だか読後疲れがどっとでるような本である。しかし、今の若者をデータとインタビューによって良くとらえていると思う。感心した。
読み終えるとなぜこのタイトルにしたよくわかる。少し悲しい気持ちにもなるが・・・。
金子 勝: 儲かる農業論 エネルギー兼業農家のすすめ (集英社新書)
儲かる農業論 金子勝 武本俊彦
副題にエネルギー兼業農家のすすめ
農業政策の変遷そして誤った政策が今日まで行われ結果現状の農業があるという認識。
大規模化すればいいというのは北海道などの一部の地域の話。
山間地では平らな広い畑を確保するのは困難であること。
そうした現状にける新しい農業モデルの提案。
最後に提案している近未来の農業経営モデルは「6次産業化」+「エネルギー兼業農家」は納得できる内容である。
この本の中にはエネルギー政策、脱原発や電力会社の今後についても触れたれている。
この点は大いに議論して進めて行く問題ですね。
ドイツの取り組みが取り上げられていて興味深い。
協同組合をはじめとした地域の住民の協同に基いて事業を行う組織が、再生可能エネルギー事業の担い手となっていること。
『地域に根差した再生可能エネルギー事業=コミュニティ・パワーが再生可能エネルギー全体の過半を占める状況が現出している。
コミュニティ・パワーとは、①地域の利害関係者がプロジェクトの大半もしくはすべてを所有している、②プロジェクトの意思決定はコミュニティに基礎を置く組織によって行われること、③社会的・経済的便益の大半もしくはすべて地域に分配されること、という三つの基準のうち、少なくとも二つを満たすプロジェクトのこと。
「集中・メインフレーム型」から「地域分散・ネットワーク型」へエネルギー改革が伴わないとなかなかこのエネルギー兼業農家が実現する可能性は少なくなってしまうように思う。
しかし、歩みを進めている地域の事例もある。その地域に住む人々の考えかただと思う。
こうした点でも地域の独自性や自立というものが求められている時代だと思う。
だが、やらされるのではなく自らがやりたいと思える地域政策を作り上げていかなければならないと思う。
中谷 元: 右でも左でもない政治―リベラルの旗
今日の日本政策学校の講師中谷元衆議院議員の課題図書。
(オンラインにて受講中)
右でもない左でもない政治 中谷元
元防衛庁長官で元自衛官っということは存じ上げていましたが、著書を読んでイメージが変わったというのが印象です。
元自衛官というと田母神さんを思い浮かべてしまします。
著書からはリベラルを主張されており、本日の講義の前半もその点を話されてましたが、後半は集団的自衛権を含む防衛問題が中心でそれはそれでいいのですが・・・。
課題図書を事前に読んだ私としては、地方への財源移譲を主張されていたので本の中に触れられていない財源の問題を伺いたかったのに少し残念でした。
収入と支出あってのやはり政策だと思います。
講義の内容は素晴らしいと思います。
しかし、この防衛問題は意見が多様ですからね・・・。
でも信頼できる政治家と著書と講演から感じることができました。
この本、ネット注文のミスで二冊(古本)届いてしましました。(笑)
興味のあるかたはご連絡ください。
宮台 真司 神保 哲生: 経済政策の射程と限界
経済政策の射程と限界 神保哲生・宮台真司
高橋洋一・野口悠紀雄・北野一・浜矩子・小幡績・萱野稔人
2013年6月に発行された本。
アベノミクスについて一年ちょっと前に語られた本。
一年後に読むのもいいかも?と思い読み進めていた。
安倍政権の金融政策についての両極端な意見が掲載されている。
今朝、読み終えて訳であるが何とタイミングにいい昨日の日銀黒田総裁の追加の量的緩和策が発表された。
これほど意見が異なる金融政策、どちらの言い分も読めば納得。
その中で自分がいかに判断するのかということであるのだが・・・。
金融緩和を賛成する方の意見も所詮入口の政策で、究極は実体経済の産業構造を変えていかなければならないというのはそのほかの方とも意見が一致するところと理解した。
以下気になった所の抜粋。前後の文脈が判らず不明な点はご勘弁を。
・公共投資は特定の業種が潤うだけなので、雇用を増やす波及効果があまりない場合がある。(高橋)
・日本は支出系が多くて、えこひいきの強い政府だといわれますが、世界では減税系が主流。(高橋)
・しばしば金融政策について、「糸と同じで、引けるけれども押せない」と言われます。過熱気味の経済を引き締めることはできる。でも活性化していない経済を押すことはできない。(野口)
・グローバル経済の下では、(中略)賃金も、一番低い国に収斂していくから、日本の賃金が下がって、デフレの一因にもなっています。しかし、それより恐ろしいのは、お金の収斂―――つまり“金利”が高い国や企業に向かって、お金が収斂していくことなのです。(北野)
・日本のメーカーはもっぱらニーズに応じて商品開発を行うマーケットイン型ですが、アップルは「Think Different」つまり「IT製品にスペックを要求するあなた方は間違っている」と消費者を教育するプロダクトアウト型です。プロダクトアウト型のマーケティングとそれに基づく製品開発に必要なのは、需要への最適応答ではなく、新たな価値の創造による市場創出です。(宮台)
・日本を含む先進国の経済に必要なのは、「成長戦略」ではないと思うのです。そうではなくて「成熟戦略」が必要だ、と思います。成熟した豊かな経済の中で、いかに「分かち合い」をうまくやっていくかということ。そこが一番の勘所なのかなと思います。(浜)
・グローバル化というのは政治と経済が分断されたということです。経済には国境が関係なくなった。それなのに政治は依然として国民国家が単位です。そのズレによって、個々人の生活と政治が結びつかなくなってくるのは当然です。(小幡)
・製造コストのうち賃金の割合は全体の1割程度でしかないからです。1割程度でしかない賃金を、海外移転で3分の1に抑えても、たいして影響はないわけです。にもかかわらず多くの企業が海外移転し続けるのは、日本では人口が減っているし、需要の伸びがないからです。(小幡)
・ミクロで見れば、(中略)若い人が能力を蓄積できて一人前になれるような仕事に就けるかどうか。(小幡)
・どのみち新興国に追いつかれるがゆえに低賃金化や非正規労働化によってしか生き残れない産業領域から、そうなりにくい産業領域への産業構造改革です。(宮台)
・家族親族や親しい者たちが沈まないために、曲がりなりにも近代的ゲームの何たるかを知る者たちが連帯して、自治的共同体を守るということ。これ以上のことは出来ないし、これだけで十分なのではないでしょうか。(宮台)
政治に何を求めるのか?成熟社会をいかに制度設計していくのか?株価や為替相場を気にしながらも長期的に安心して暮らせるために財政はいかにあるべきか?
政治家に分配ばかりねだる国民よいかに?
小渕さんの政治資金の問題が出てきているが、こうした構造を作り上げた国民にも責任があるよね。
Clayton M. Christensen: イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)
イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン
2001年7月が初版。私のものは、2014年4月の38刷。
これだけ増刷読み続けられるのが理解できた。
一言で言えば、顧客のニーズにそって製品を開発(持続的技術)している間に、まったく新しい技術(破壊的技術)に市場を奪われてしまうという話と理解。
事例としてハードディスク業界、掘削機業界、鉄鋼業界、ホンダのバイクの北米戦略などの事例をもとに、組織は持続的技術と破壊的技術をいかにバランスよく開発投資していく必要が問題となる。
その組織論、資源、プロセス、価値基準が重要な要因。
資源・・・人材・設備・技術・商品デザイン・ブランド力・情報・資金・供給業者・流通業者・顧客との関係
プロセス・・・資源を変換するための、相互作用・協調・コミュニケーション・意思決定のパターン
価値基準・・・仕事の優先順位を決めるときの基準
組織としてこの優先順位の決定は多きし、新規の投資規模の判断も難しいところだと思う。
この本を通して思うところはなぜ一流企業がもがき苦しむ状況に追い込まれるのか?この点が理解できるところ。また、魔法のような手法はないということ。
でも何に気をつければいいのか?ということがわかると思う。
日々技術開発に追われる企業経営者は必読の本だと思う。
古市 憲寿: だから日本はズレている (新潮新書 566)
だから日本はズレている 古市憲寿
著者は東大大学院博士課程に在籍する社会学者。
最初にタイトルにしようと考えていたのが、「おじさん」の罪だったそうだ。
目次をみるだけでも面白い。
・「リーダー」なんていらない。
強いリーダーを期待するがそんな一人の力で世の中どうにかなるような簡単なものではなく複雑な社会なのだ。
・「クール・ジャパン」を誰もしらない。
それぞれ考えているクール・ジャパンが違うのに議論して膨大なお金を使っている。
・「ポエム」じゃ国は変えられない
「心のノート」がポエムなのだそうだ。これは知らなかった。
・「新社会人」の悪口は言うな
入社式の社長挨拶は昔も今も変わっていない。ということは新入社員も変わっていないのでは?
・やっぱり「学歴」は大切だ
「学問」が人の上に人を造る。私は、学歴は40歳までとの森信三の言葉を信じる。40歳にもなれば学歴だけではどうにもならないところまでくると思う。著者はまだ29歳。
・「若者」には社会は変えられない
日本の若者は格差を感じていない。次のデータにショックを受けた。
2013年に内閣府の「国民生活に関する世論調査」
現在の生活に満足している」と答えた20代の割合は78.4%
同調査では今後の見通しも聞いている。
20代の63.3%が「同じようなもの」と答え、「悪くなっていく」は7.8%しかいない。
それが40代になると19.3%、50代では31.4%が「悪くなっていく」と答えている。
など面白い分析が続く。
今の若者はバブルや好景気など知らないのである。
「ダウンシフターズ(減速生活者)」「コンサマトリー(自己充足的)」という既存社会の生活や価値観からはずれていく中に、自分たちの幸福を見つけようとする人たちが増えているように思う。
しかし、そうした考えを持たなければならないのが本当は「おじさん」たちなのかもしれないと感じた。
最後に「おじさん」批判を紹介。
社会を変えられるのは「若者」ではなくて「おじさん」だ。「おじさん」のほうが、若者よりも人脈もお金も経験も、あらゆるリソースを多く持っている。それなのに、自分は安全圏にいて「若者」が社会を変えてくれると勝手に期待するのは、あまりにも都合がよすぎる。よくカネを出しても口を出さないのが一番いいというが、口だけ出して金を出さないのが一番よくない。
選挙を経験した私にはいろいろ感じるところがあった若者の本であった。
さて、45歳は「若者」か「おじさん」か?
ティナ・シーリグ: 未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II
In Genius ティナ・シーリグ
副題に未来を発明するためにいまできることとある。
Geniusの意味は、生まれつきに創造的な才能や天分、天才という意味であるが、著者がタイトルに込めた思いは、私たち一人ひとりにはクリエイティブな能力があり、解放されるのを待っているという意味だそうだ。
なかなか私にはついていけない本かなと思った。
章ごとの題も、蜂を招きいれる・積み上げ、積み上げ、積み上げ、ジャンプ!・忘れられた顧客カード・机の王国・ココナッツを思い出す・猫のエサを動かす・魔法の靴を履く人、履かない人など???といった考えさせる題がついている。
イノベーションは・エンジンの内部は、知識、想像力、姿勢の三つで構成。
・知識は、想像力の燃料。
・想像力は、知識をアイデアに変える触媒。
・姿勢は、イノベーション・エンジンを動かす起爆剤。
そしてイノベーション・エンジンの外部は、資源、環境、文化の三つで構成。
・資源とは、あなたが所属するコミュニティに存在するすべての資産。
・環境とは、家庭や学校、職場など、あなたが過ごす場所。
・文化とは、あなたが所属するコミュニティの集団的思考、価値観、行動様式をさす。
このイノベーション・エンジンを解説がこの本の中身。
これだけでは何のことはよくわからないと思いますが、いくつか印象に残った文章を掲載しておきます。
・問題をとらえ直すこと――――リフレーミングは、余裕があるからするのではありません。それどころか、市場や技術が変化する中で生き残るには、どの企業も事業を絶えず見直すことが必要。
・シリコンバレーでイノベーションが盛んなのは、個人や企業のあいだで活発なアイデアの交換が行われているからです。
・スティーブ・ジョブズの言葉、クリエイティビティのカギは、「人類が成し遂げてきた最高のものにふれ、それを自分の課題に取り組むこと」
・人はたいてい解決策を思いつくと、最善だと思えなくても、そこにこだわるという落とし穴にはまってしまうのです。 ティム・ハーソンのサード・サードという考え方。最初に思いつくのはありきたりな答えで、二番目がより面白く、三番目がよりクリエイティブな答えになる。
・優れたイノベータ―は的を絞った観察を行うことで、チャンスを見つけ、問題を解決する。
・空間がチームの力学や創造性を大きく左右する。赤い壁は注力を高め、青い壁はクリエイティブな思考を養う。天井が高い方がアイデアを膨らませやすい。周囲の音も、感情を大きく左右する。
・少ないことは良いことだ。(less is more)
・個人にクリエイティブになって欲しければ、その目的に合ったインセンティブを備えた環境を整えることです。チームに新しいアイデアを出して欲しければ、創造性を評価するフィードバックをすべきです。組織に独創的な答えを求めるなら、生活のあらゆる面がゲームだと理解する必要があります。そして、短期、長期の両面で、目標達成のための独創的な解決策に報いるルールを策定しなくてなりません。
・明確に指示され、知るべきことを教えられれば、自分で探ってみようと思わなくなる。
・「天才とは、失敗を最短期間で最大限に活かせることのできる人間のことである。」
・実は、何か問題にぶつかったときに、解決する方法はあると信じることが、解決法を見つける重要なステップになります。
少しは創造性が豊かになるだろうか?思考回路を変えていかなければ・・・。
グロービス経営大学院: 創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか
創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか グロービス経営大学院
グロービス経営大学院というとアメリカMBAのイメージを持っていたので、日本の長寿企業のこの本を出版されていることのちょっとビックリしたが、善く考えてみれば長寿企業を研究対象にするのは当たり前のことですね。
さて、世界の中で創業200年以上の企業は日本が43%と断トツ。続いてドイツの22%フランス5%と続く、ちなみに中国は1%。韓国には200年企業は存在せず、100年企業も2社しかないのだそうだ。
日本の長寿企業 社数(全企業数に対する割合)
100年以上 26,144社 (0.6%)
200年以上 1,191社 (0.03%)
300年以上 605社 (0.015%)
400年以上 191社 (0.005%)
500年以上 39社 (0.001%)
※創業300年以上かつ年商50億円以上は69社
日本に長寿企業が多い三つの理由
①侵略や大きな内乱がなかった日本独特の歴史的側面
②和、創意工夫、伝統、質素倹約、勤勉を尊びつつ、他者を受け入れる日本の文化的側面
③日本的な経営の考え方の影響
秘訣は
①平時も有事も事業継続のための「身の丈経営」にこだわる。
②日本型サスティナブル企業を支える「価値観」をつなぐ。
③コア能力と価値観に沿った「顧客価値」を提供する。
この本に出てくる主な企業
ヤマトインテック・岡谷鋼機・月桂冠・ミツカン・ヒゲタ醤油など
私が特に興味をもったのが、神事や祭事を経営に活かす。
退職従業員の50回忌まで会社で行ってくれると言うのに正直驚いた。
でも、若いうちからそうした会社の方針を実際体感している従業員の皆さんの会社に対する想いも必然と変わってくると思う。
そのほか興味深い事例や秘訣も沢山掲載されています。興味のある方ぜひ手に取ってみて下さい。
そしてつなぐということの大切さを実感できる本でもありました。
ちなみに金剛院は510年以上、七日市幼稚園は今年で50年(それ以前はさつき保育園)。
もちろん会社と違いますが、ご参考までに・・・。
藤井 裕久: 政治改革の熱狂と崩壊 (角川oneテーマ21)
政治改革の熱狂と崩壊 藤井裕久
私の好きな政治家。
なぜこの人が小沢一郎と共に歩んできたのか?それが判った。
でもこの中に出てくる小沢一郎像に触れてもやっぱり好きにはなれない。
田中角栄の政治は今でも日本政治の底流に流れているというのは、残念ながら納得。
しかし、この中にあるように政治とは、「国民を元気にしよう、夢を与えようというのが政治の一つの役割だ。夢を与える政治は評判がいい。しかし、夢を売り続けるがために、必ず度が過ぎたことをやる。」その積み重ねが一千兆円も超える借金となってしまったのも事実。政治家が覚悟をもって税の必要性を訴えてこなかったことの責任は大きいと思う。
増税反対ばかりではだめだ、道筋を示さなければ・・・。
政治はバランス。
自由主義も民主主義も、行き過ぎれば、社会が混乱する。自由主義は行き過ぎれば格差や無秩序につながる。民主主義を履き違えれば悪平等がはびこり衆遇政治につながる。公正な自由主義を担保するためには、ルールに基づいた規制とセーフティーネットが必要。このバランスを考えるのが政治の力である旨の部分には大いに納得。
しかし、「仙人のような人間に、夢を売る大事業ができるはずがない。」とリスクを取る必要性や清濁併せ呑むことが政治には必要だと。ここは肝に銘じておきたい。
そして「そもそも権力は腐敗するものだ。それを防ぐためには、議論が必要だ。」かつての自民党は、堂々と政府や執行部の方針に反対論をぶつける議員が沢山いたそうだ。その議論こそが健全な民主主義を担保すると。しかし、民主党は議論はするが何も決められなかったと・・・。
改めて政治について考える機会になったし、再度決意を強くすることができた。
記者の編者あとがきに藤井裕久という人間の魅力が語られている。
政治家を目指す人は読んでおくべき本。
増田 寛也: 地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)
地方消滅 増田寛也編著
日本創成会議が発表した自治体の消滅危機。
増田ショックとも言われるもの。
しかし、その警鐘をいかに今後の政策に活かしていくかと言うこと。ここが大事。
国民的合意の人口政策が必要だろう。
他人事でいけないのである。
注目の自治体の取り組みも掲載されているが、起死回生の成功事例なんてないのである。
地道にまちをつくり魅力を高めていかなければならない。
いかにして流出人口を食い止めることができるか?
こうしたことが今後の自治体の政策に求められる。
都会への進学や就職の18歳の決断と大学卒業時に地元に就職するかどうかの22歳の決断。
私にもその年代の子どもがいる。県外の大学に進学した。娘が決めることだが戻ってくるかどうか???
富岡市だけの問題ではなくて、甘楽富岡地域全体、そして近隣の高崎市との役割分担も描きながら地域の魅力を育てるしかない。すべてを求めることは間違っていると思う。
昨日、この本にも掲載されている高松市丸亀商店街を散策してきたが、平日ということもありそれほどにぎわっているという印象はなかった。
しかし、生活者だったら入ってみたいなと思える店はあったし、高級ブランド品の店舗もあった。休日のにぎわいを見てみたいと思うが、高松の知人は成功事例のように取り上げられているが、なかなか難しいようだし実際に足を運んでいないようだ。
それから農業で大潟村が取り上げられている。
そのまま特性をこの地域に持ってくることは不可能だと思うが、何かヒントにはなると思う。
実は、大潟村で大学ラグビー部の後輩が議員をしていることが最近判明した。
彼は名門校の出身で頭が良かったが、今は実家に帰り農業をやっているようだ。
連絡をとって情報交換をしてみたいと思う。
駒村 康平: 日本の年金 (岩波新書)
この日本の年金システム現状と問題点、海外との比較そして今後の改善策というのが大きな流れ。
しかしこれを人にわかりやすく説明するのは至難の業だと思う。
私はあきらめておきます。
ただ、国民の年金に対する意識改革は行っていかないといけないと思った。
年金と生活保護との問題も今後深刻な問題となりそうな懸念もありです。
年金改革の進め方でスウェーデンの与野党協議の進め方が参考になると思う。
①課題を共有する
②必ず合意する
③合意内容を一方的に破棄しない
④年金改革の議論を政治パフォーマンスや一回ごとの選挙の材料にしない
⑤利害関係者の影響を受けない
とにかく未納率を下げるためにも保険料を支払いやすく制度にすることと、一人ひとりが興味関心を持つということそして政治決断が大きい。
そうは簡単な改革ではないということが分かる。
痛みを伴わない改革はおそらくないのだから・・・。
本田 直之: LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。
LESS IS MORE 本田直之
タイトルのLESS IS MOREは、より少ないことは、より豊かなことだ。
建築家のミース・ファン・デル・ローエのことばだそうである。
著者は身の丈を知るということ場で表現しているが、少欲知足または京都・竜安寺にある蹲踞(つくばい)に刻まれている吾唯足知ということだと思う。
シンプルな生活にこそ豊かさを感じられるような生き方を選択しそこで幸福を感じられるような人生を過ごしましょうとのこと。
そのために考え方、そしてデュアルライフや仕事の複業(副業ではない)などを勧めている。
何に幸せを感じることができるか?という意識という人生観の問題。
過日の「無名の人生」とある面似ていてある面積極的に選択という面ではまったく逆な考え方にも思えた。
これだけ豊かな日本、幸福度ランキングでは下位に。そして租税負担率、社会保障負担率の比較的高い北欧諸国がランキングは上位に。
日本は、
2010年のギャラップの「世界幸福度調査」81位。
2006年、イギリスの国立レスター大学による「世界幸福地図」90位
2011年、イギリスのレガタム研究所の「豊かさ指数」21位
ちなみに租税負担率・社会保障負担率(合計)
日本、 24.3%・16.3%(40.6%)
デンマーク、 67.3%・ 2.6%(69.9%)
フィンランド、 42.6%・16.7%(59.3%)
スウェーデン、46.9%・12.1%(59.0%)
ノルウェー、 43.3%・11.5%(54.8%)
で、現状のこの制度を変えて幸福度はあがるのか?ということですがそれはNOだと思います。私は財政的にはこれらの負担率は上げていくべきだと思っています。
財政的には・・・。
しかし、あのバブルの景気を味わってしまい、物質的豊かさを求めてきてそこに幸せを感じる世代に育った人が、幸福感を変えられるか?ということだと思う。(最近はそれを否定するような本が売れているが、過去のような経済発展にのぞみを持っている人が多いのも事実)
バブルを知らない若い世代は草食系とたえられるが、幸福感がそもそも違ってそれなりに現代社会の中で幸福を感じることができていると・・・。
著者の新しい幸せ10の条件を紹介しておきます。
1 仕事を楽しんでいる
2 いい仲間、いい家族がいる
3 経済的に安定している
4 精神的・肉体的に健康である
5 刺激のある趣味やライフスタイルを持っている
6 時間を自分でコントロールできると感じている
7 住む場所をしっかり選んでいる
8 いい考え方のクセを持っている
9 将来の見通しが立っている
10 ゴールに向かっている感覚を持つ
どれだけ該当していますか?
そしてそもそもこの本は都会で暮らして仕事をしている人には多いなる提案。(地方から東京に通勤している人含む)では、そもそも田舎で暮らしていて仕事をしているひとは?どうなの?ということになると思いますが。
その答えはすでに幸福だということだと思います。
これも考え方ですが・・・。
ガンディー: ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫)
ガンディーについて特に学んだことはなかったけど、何となくもっていたイメージと違ったというのが感想。
盗人にたいして、「盗人は赦せても、彼らの加えた危害は見過ごしてはなりません。それはただの臆病です。
」でもどう対応すればいいかは難問です。
「わたしたちは完全な自己放棄の理想に到達し、そして肉体が存続する限り、奉仕のためにこれを用いるべきことを知るのです。――――こうして、やがてはパンではなく、奉仕がわたしたちの生命を支える糧となるのです。」
人間だから到達しうる境地ですね。
「公正な判断力は多くの難問を解決する助けになります。また、なにかを批評するにさいしても、謙遜と礼節をもって意見を述べるならば、後味の悪さを残すことはありません。」これはしっかに身につけたいと思う・・・。
「謙虚さを教化するのは、結果的には偽善を教えることになるからです。謙虚をたんなる行儀や礼儀作法と混同してはなりません。」
これは深いですね。何か形ばかりで心があるのかどうか?と思うことは多々ありますよね。またそうとられないような人間にならなければなりませんね。
ガンディーの思想として、政府の強大な権力と軍事力に対して、素手の民衆が肉体的な暴力をもって戦いを挑んでも、強大な武力に勝利することができないのは言うまでもない。暴力に対して暴力ではなく、非暴力、すなわち、精神の力を持って立ち向かう以外に道はない、と。ガンディーの説く非暴力は、消極的否定的な方法ではなく、積極的な愛の行為であると。ここら辺が一番イメージと違ったところでしょうか。
勉強不足ですね。
そして宗教と政治についても触れられていて、細かな宗旨宗派とかいうのではなくて、寛容性にもとづく普遍的な宗教。道徳性や精神性のない政治は避けなければならない。
この点が政治不信や投票率の低下に影響を与えていることを肝に銘じておかなければならない。
佐々木 圭一: 伝え方が9割
コピーライターの方が書いた本。
コトバって大事だと改めて思う。
最近、言葉が貧困になっていると言われるが言葉は変遷しているのだという。
相手にイエスを言わせる7つ切り口は面白い。
営業マンといわずすべての仕事で役に立つと思う。
もちろん言葉だけではだめだと思うが、言葉も大いに大事と思えます。
あっという間に読了できます。
渡辺 京二: 無名の人生 (文春新書)
「成功」「出世」「自己実現」などくだらない。
「生きるのがしんどい人びとにエールを送りたい」と帯に。
その帯の印象はそうかな。ちょっと?????
しかし、読んでいくと納得する部分も多く、逃げないで自分に与えられた人生を受け入れて、とにかく生きるということだと思う。
今どきの若い人にたいして
「世の中はお前のためにつくられているわけじゃない・・・。」
「女性に対して料簡の狭い男は、じつは同性に対しても料簡が狭い。」
「就職ができないからと落ち込んだり、引きこもったりしている人たちに言いたい。いかに管理された社会、出来上がった社会であっても、みずから出かけていって自分の居場所を見つけてほしい。そこには必ず、自分に適した穴ぼこがある。そういうニッチを発見し、あるいは創りだしていくことが、世の中を多様にし、面白くなるはずです。」
「いずれにせよ、たとえば絶対的に反戦を唱える場合も、やはり自分の属する国民共同体に対するロイヤルティを持った上であってほしい。それがあればいいと思う。」
「日々そこに暮らし、流行に左右されない自分たちの感覚を自然体で生かしてゆく。そうすれば、地域の特色というもの、おのずと形づくられるのもいいでしょう。そのためには、生物学でいう、「ニッチ」―――生態的地位は、たくさんあるほうがいい。分かりやすく言うなら、その地方が生きていくための食い扶持は、多種多様なほうがいいということです。」
「自分に納得のできる仕事―――これが難物であることは百も承知です。しかし、部屋に寝転がって文句を言っていても仕方がない。それをわがものにするには、奮闘努力して、苦境を乗り越えなければいけません。精一杯の頑張りと、自分なりの工夫です。」
「いま言われている『自己実現』というのは、何のことはない、社会的地位や名声を得ること、つまり成功すること、出世することをそう言っているので、人々を虚しい自己顕示競争に駆り立てるだけです。『自分の人生の主人になる』というのは、これとは似て非なるものです。無名であっても平凡であっても、というより、むしろそうやって『有名になる』ことに囚われないほうが、自分の人生の主人にたりうるのです。」
他にも共感する部分はあるが、選挙に出てより良い社会を作ろうなんて考えることは、著者から見ればどんな感じをもつのであろうか?(笑)
この本を選んだ理由は、かつて読んだ「逝きし世の面影」という良き江戸時代を描いた600ページに及ぶ本の作者であるからだ。
多様な生き方があるが、みんな逃げていけない「生きる」のだというメッセージをタイトルにしたのだと思う。
小田切 徳美: 農山村再生 「限界集落」問題を超えて (岩波ブックレット)
農山村再生 小田切徳美 (岩波ブックレット)
先般の「限界集落の真実」山下祐介著につづいて農山村の問題。
市町村合併によって集落へのケアが薄くなっていることもよくわかった。
当然と言えば当然の結果かもしれないが、しかし挑戦している自治体もあること分かった。
キーワードは「安心して、楽しく、豊かに、そして誇りを持って暮らす」ことと。
問題は人と土地と誇りの空洞化だが一番重要なのは、地域住民がそこに住み続ける意味や誇りを見失いつつある「誇りの空洞化」だと。
もちろん地域には一生懸命頑張っておられる方はいる。
その中で、そこに住むことを子どもたちにどのように伝え育むか?これは大切。
「こんなところに住まないで、勉強して都会で立派な会社につとめるんだぞ」と育てたらそれはその結果に結びつきますよね。
とは言っても仕事の確保が重要なのは言うまでもありません。
山口県の中山間地のアンケートが掲載されている。
そのなかに「あといくらぐらいの月額収入が必要か」という項目あって、その答えを分析すると男女も含めて年収で36万円から120万円の増収を実現すればほとんどの住民の願いはかなうのだそうだ。
この小さな経済を地元の特産などで実現できるのではないか?ということである。
現実に、高知県の馬路村や、徳島県の上勝町など全国的にも有名な成功事例は多数ある。
最初のキーワード、「安心して、楽しく、豊かに、そして誇りを持って暮らす」これを地域住民で本当に語り合い目標を決める必要がある。そこからがスタートだと思う。
限界集落と言われ追い込まれる前に自ら立ち上がることだと思う。
一方富岡の街なかは製糸場前の城町通りはお店の出店ラッシ、近隣も駐車場が多くできた。
この流れはどうすることもできないだろうが、まちづくりは土地の所有者がかかわらないとだめなこと、商店街は地元の人がそこで物を買いたいと思うお店づくりをすること、輝くお店の連鎖で商店街ができあがること。それがうまくいくように行政が出店等の支援策を的確に行うことが重要と成功・失敗事例からの結論。
でだれがやるの。地域住民みんなでやるしかないんです。
人や行政をあてにしていたら他の市町村からおいていかれるんです。
補助金をひっぱってきて公共事業はイベント的な事業を続けてもだめなんです。
みんなで自分の周りのコミュニティからはじめましょう。
できることからはじめましょう。
ピーター・ティール: ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか
著者は、シリコンバレーで現在もっとも注目される企業家、投資家。PayPalを共同創業して会長兼CEOに就任、2002年に売却し現在も起業と投資を行っている。
タイトルからも想像つくかもしれませんが、何もないところ一つ生み出すということ。
私は、世襲なので起業家の想いや気持ちというのは本当のところわからない。
でも、間違いなく創業者は尊敬します。
アメリカでの企業の話であるが、その大変さやほんの一握りしか成功し、独占までは至らない事が良く理解できる。
そしてたくさんのキーワードが掲載されている。これから起業を考えている人は読んでおくべきであろう。
1つだけ紹介しておきます。
どんなビジネスでも始める前に答えを出しておく7つの質問。
①エンジニアリング・・・段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?
②タイミング・・・このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?
③独占・・・大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?
④人材・・・正しいチーム作りができているか?
⑤販売・・・プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?
⑥永続性・・・この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?
⑦隠された真実・・・他社が気付いていない、独自のチャンスを見つけているか?
この隠れた真実についてはこの本を読んで理解していただくのがいい。
でも新しいことにチャレンジしてみたいと思わせるエネルギーがこの本にはあると思う。
小黒 一正: アベノミクスでも消費税は25%を超える (PHPビジネス新書)
大げさではなくこれが真実なんだと思う。
10の論点はデータも示されており納得できる。
投票権のない子ども達そしてこれから生まれてくる世代に私たちは本当に何を残せるのか?考えていかなければならない。
その視点でものごとを考えないといけない。
ただ消費税を上げるだけが解決策でもないと思う。
問題なのは国民が現状もっと知るということと将来の責任を持つことだと思う。
税金を下げろと言う人には是非読んでもらいたい。
小幡績: 成長戦略のまやかし (PHP新書)
政府の政策投資の先が間違っているということを理解。
人への投資は大いに賛成、最後に提案している「高専」政策も大いに興味をもったし実現ができればいいと思う。
学校、企業そして専門知識をもった優秀な教育者によって、地域の人材を育成によって成長を図る。素晴らしい。
そのやり方も提示されていて興味深い。
立地戦略はもうだめ。
その理由は社会を愛さない構成員がいくら増えても、その社会は発展しないし、安定もしない。そして経済成長すらしない。この辺も理解できた。助っ人チームで日本代表を編成してもダメというたとえはわかりやすい。
そして税の優遇などもどこもがやれば結局は同じことこれもごもっともだと思う。
それでも著者は地域で頑張れと言っている。では答えは何か?
『地元出身の若者を呼び戻し、子育て環境を整え、定着させ、若年層の人口を増やす。あるいは、高齢者という枠組みに閉じ込められてきた人びとを解き放ち、その社会で活力をもって活動できるようにし、社会の活気を取り戻す。』そのためには政策は人と社会に集中させる。
そうできるようにしたいですね。
伊與田 覺: 「中庸」に学ぶ
『中庸』は四書の一つ。
もちろん原書も読んだが、今回は観点が違うというか立派な人間になろうとするには?と言うことがこの本の大切な部分であることを再認識。
原書を読んだときは中庸的判断を意識して読んだので今回のような気付きは無かった。
とういうかこうした解説本を読まなければ気づかなかったかもしれない。いかに自分の読みが浅いかわかりますね。
中庸で一番大切なのが「誠」。
その意味合いは、自分にとっても嘘偽りのない心のこと。いわば真心。
そしてそれらを皆もって生まれてきている。それを如何にな内発的に発揮していくとが至誠というもの。
人の上に立つ人の徳によって世の中が収まる。ここを目指さなねばなりませんね。何も語らずとも徳が現れている人もいると。また、最初の見た目でなく後からその良さというか人間の深みが広がって理解されていくというものが徳のような印象を受けました。
一つだけご紹介。至誠にいたるには日常の反省が必要。
「省」には二つの意味があり、省(かえり)みた結果良きものは残し、悪しきものは省(はぶ)いていくことが重要。
さて、今日の行いを省(かえり)みないと。
中庸的判断はまたまた別の機会に・・・。
ジェリー・ストーカー: 政治をあきらめない理由――民主主義で世の中を変えるいくつかの方法
政治家は信頼されていないデータから出発。
政治のとは?
市民たるもののかかわり方の多様性。
民主主義を終わらせないための解決策とは?
市民参加は読む前から良しとしていたが、さらにそれが深まった。
ある政治家のおすすめの一冊。手ごたえがある一冊でした。
千田琢哉: 1日に10冊の本を読み3日で1冊の本を書く ボクのインプット&アウトプット法
ネットショップの検索で「本」と入力したら著者の本が出てきた。
名前は知らなかったので、ネットで検索したら講演の動画があった。ちょと興味を持って注文。
あっという間に読破できる本。
著者の読んだら捨てるという考え方が何となく理解できた。
興味ある言葉もいくつか拾って、とりあえず捨てずに本棚へ。
永 六輔: 職人 (岩波新書)
1996年の初刊だから、当時よりもっと職人と呼ばれる人は少なくなってしまっているかもしれませんね。
作家と呼ばれる人は増えているかもしれません。
この違いもこの本に触れられています。
大量生産・大量消費の時代はではなくなっていると感じます。
実は、安いものを買うことによって実は貧しくなっているように思います。決して高いものを買うことが良いと言っているのではありません。
『いま、使い捨ての道具がおおはやりですね。確かに便利です。
でもそういう便利さとのひきかえに、ほんとに手づくりでなければできなかった仕事をしていく人がいなくなっちゃお終いなんだから、いなくなるまえに、その人たちを守らなければいけない。
守るためには、その人たちの品物を買わなくちゃいけないんです。
別に高く買う必要はないけれども、その人たちがやってきた仕事に対しての正しい報酬を払う。
そして、それを身につけ、生活に使う。
ぼくはそれがほんとうのゆたかさだと思うんです。』
ここの件は、同意。
結果、便利や安さにを追及することでほんとうの豊かさを失ってしまっているのではないかと思います。
これは価値観なので人には押し付けではありませが・・・。
でも巡り巡って自分たちに返ってきていると思います。
松本 崇: 負けてたまるか~車イス市長、どん底からの奮戦記~
唯一の車イス市長。
市長在任中に無実の罪で逮捕220日間勾留されたそうだ。結果は高裁まで有罪判決、最高裁に上告したが、再度市長選に出馬するために上告を取り下げ有罪が確定。
しかし、恐ろしいですね。こんなことがまかり通るなら一対一で人とは会えないですね。恐ろしいです。
興味があったのは市政運営。
多くの点をうなづきながら読ませていただきました。
「それは、密室政治こそが腐敗の根源であり、市民生活を脅かす元凶であるというものだ。政治・行政は開かれたものでなければならない。あらゆる情報が市民に公開され、衆人環視のもとで政治家は政策を競い合うべきである。そのことによってはじめて、政治家は市民の信頼を得ることができるのである。」
この信念はいいですね。
そのほか印象に残る言葉もいくつかありました。
しかし、壮絶な人生を過ごされていることに感服です。
塩野 七生: ローマ人の物語〈25〉賢帝の世紀〈中〉 (新潮文庫)
お風呂で読み続けているシリーズ。
皇帝ハドリアヌスについて。
時代は全く違うが税制、社会福祉、公共事業など考え方のヒントになります。
自分の統治のモットーとして、「寛容」「融和」「公正」「平和」を通貨に彫らせたそうで・・・。
しかし、四人の重臣を抹殺してでの上である。
四つの言葉を実現するためと言われればそれまでだが・・・。
統治の深さでしょうか。
橋爪大三郎: ゆかいな仏教 (サンガ新書)
やはり時には仏教関係の本も。
社会学者の対談本。
しかし、さまざまな宗教をよく知っている。
世界的にはキリスト教を前提に社会が成り立っている。
近代民主主義もそうだと。
日本は仏教の言葉がたくさんある。
社会の文化や制度のなかに仏教がもとになっていない。
しかし本来の特徴は、個人主義的で自由主義的で合理的そして理想主義的。現代的で前向き。ここに仏教の可能性がありだからもっと知り(広める)頑張れと言われているように理解しました。
塩野 七生: ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈上〉 (新潮文庫)
お風呂で読んでるシリーズ。
初の属州出身皇帝のトライアヌスのお話。
頑張りすぎる力。
指導者たるもの・・・。
勉強させていただいております。
堀江 貴文: ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく
過去のイメージを覆すホリエモンの印象。
素直に読めたし彼の人柄や何を求めているのか?がよくわかる本。仕事へ対する考え方や、時間の概念や使い方は大いに納得できるものでした。
掛け算を当てにするのではなくイチを足していくという考えは今の活動の中で心にスッと入ってきたし、勇気を与えてくれた。
トクヴィル: アメリカのデモクラシー〈第2巻(下)〉 (岩波文庫)
やっと全4冊読了。
著者のデモクラシーは平等化と同意。
その平等化が恐ろしい結末を予見させるが、人類はそれを克服するとしている。
しかしどんな結末を迎えるかはその国民次第であるとしている。
今のアメリカをみたらどのような意見をもつのか聞いてみたい。
林 宜嗣: 分権型地域再生のすすめ
地方だけではどうにもならない問題もあるが、今後の地域のあり方を示す内容。納得するところが多く参考になる書籍でした。一点、ちょっとした自治体の気遣いで誘致企業に与える印象が違うということ。
もっとも大事なことはそれではないが、大いに参考になりますね。
ただの企業誘致ではだめだということですね。
実現できるかどうかわからないけど挑戦しないとね・・・。
トクヴィル: アメリカのデモクラシー〈第2巻(上)〉 (岩波文庫)
今、分析すれば違う表現にもなるかもしれないがアメリカのデモクラシーを詳細に分析した本。イギリスやフランスとの比較、文学、個人主義、結社、利益について宗教など、今のアメリカと比較しながら読むと面白いかもしれませんが、現状をあまり理解していないものとしては・・・。
政治問題として次の一文が気になったので記載します。
「民主的諸国民が限度を超えて盲目的に一般観念に流される危険が特に大きいとき、利用できる最善の矯正策は、彼らを日々、実践的にそれに関与させることである。そうすれば、彼らはいやおうなく細部に立ち入り、細部は理論の弱点を認識させることになろう。その薬は苦いが、効き目は確かである。すなわち、市民一人一人を統治に実践的に関与せしめる民主主義諸制度は、平等が吹き込む政治についての一般観念への過剰な好みを緩和するのである。』
現実の問題に関わってもらいそこで初めてその他の面を考えるようになると思う。
政策工房: ニッポンの変え方おしえます: はじめての立法レッスン
立法学の講義の復習でしょうか。
初めての人にはとてもわかりやすいとお思いますが、やはり一番感じなのは、地方自治でも政策形成にいかに市民がかかわるか?そして国政においては国会議員がいかに立法に関わるか?だと思います。それを資金も労力も市民が支えるようになるのが理想と思います。
原 英史: 官僚が使う「悪徳商法」の説得術 (講談社プラスアルファ新書)
大臣や政治家と官僚の関係がよくわかる内容です。
「政治主導のためには、労力とコストを惜しまずに、自分で考え、自分で調べ、自分で政策ををつくりあげることが必要になります。それは、簡便で楽な道を拒絶すること、そして、自分の主義主張をサポートしてくれるスタッフやシンクタンクの協力を得ることです。それにはコストがかかります。」
ここがポイントだと思いますね。
このコストを国民が負うようになる時代がくるのだろうか?と思う。まだまだ政治主導は遠いかもしれないですね。勘違いの政治主導についてはこの本にも掲載されています。
延藤 安弘: まち再生の術語集 (岩波新書)
これからのまちはこういうものを大切にしていかなければならないんだろうなと、納得できることが多かったです。
歓喜咲楽(よろこびわらいあぞぶ、楽しさと遊び)
私発協働(自らが主となりまわりとつながる、つぶやきをかたちに)
対話共有(話し合い、知恵を育み合う)
軋変可笑(軋みを可笑しみに変える、トラブルをドラマに)
ゆるいつながりがこれからはいいような気がしますね。
それから群馬県の住宅供給公社のコレクティブハウスのことが載ってました。ちょっと調べてみようと思います。
大野 輝之: 自治体のエネルギー戦略――アメリカと東京 (岩波新書)
自治体でのエネルギー政策の取り組み。
アメリカの事例も学ぶべき点はあるが、著者の東京都の事例は大変興味深い。温室効果ガス総量規制へのとの対応。国がやらないことを都が先行して行った事例。そのほか排ガスの問題や節電プロジェクトなど、3.11を乗りきることができる取り組みを事前に行っていたことはかなり大きい。しかし実現までの都庁のお取り組みが参考になります。
塩野 七生: ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉 (新潮文庫)
最後の人材の登用についての分析が面白い。
『ユリウス・カエサルは広く属州から人材を登用し、アウグストゥスは、騎士階級というローマ社会の第二階層を、帝国運営に活用したのである。いずれも、彼らの後につづく資質を持つ人材を登用することであり、リレー要員、つまり指導者層の育成につながったと言えないであろうか。』
新しい人材に機会を与えること。このチャンスを与える力が上に立つ者の役割として重要ですね。
藻谷 浩介: 里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
いやースカッとしました。
というか今後の50年先を見据えて富岡の将来をどう描くかとても参考になりました。多くの人に会い、様々な可能性と先行きの不安、政治への不信感を肌で感じています。
今やらなければと強い思いがさらに強くなりました。
実は、知人にこの本を読んでもらっています。
このエリアでの可能性を検討する為です。
NOと言ったら無理やり手伝ってもらおうと思っています。(笑)
広井良典: 人口減少社会という希望 コミュニティ経済の生成と地球倫理 (朝日選書)
終盤の科学的な話は私には難しかったが、今後のローカル、コミュニティのあり方についてとても示唆に富んでいると思う。
「グローバル=地球的」は本来それとは違うはずである。むしろ「グローバル=地球的」は、地球上の様々な地域を一歩外から見ながら、しかしそれら「ローカル」の固有の特徴や価値をポジティブに認め、またその風土的あるいは文化的な多様性を積極的にとらえていくような考え方として把握されるべきではないだろうか。
TPPの問題も騒がれているが、議論しないことはありえないしそれぞぞれのローカルを認めてあげることも重要。まさに中庸的判断が求められるのだと思う。
恩師の言葉を借りれば、創造的折衷、建設的妥協、動態的な均衡、ここに議論の末いたることだと思う。
トクヴィル: アメリカのデモクラシー〈第1巻(下)〉 (岩波文庫)
やっと読了。
習俗が民主的な国民に自由の維持を可能にしたことを示すとあったが、アメリカの習俗がいかに法制度につながっているのかが分かります。
それと後半にあったインディアンと奴隷制度については勉強になりました。
アラン: 幸福論 (岩波文庫)
哲学断章(プロポ)と言われる紙葉2ページに書かれた文章。
毎日新聞に連載されたというのだからすごい。5000以上のプロポのなかから選ばれた93編が集約されている。
だから体系的な幸福論ではないのだが、幸せのコツが書いておると思う。自然な礼儀作法のような型が幸福にあるように感じました。結局は自分次第だと思いますが・・・。
塩野 七生: ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中) (新潮文庫)
お風呂で読み続けているシリーズ。
ユダヤ問題が良くわかる。そしてローマの税制について、いつの時代どこの国でも増税は快く受け入れられない。その解決策というかアイデアもなかなか興味深い。
トクヴィル: アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)
アメリカをの分析を通して民衆主義を考えさせる本。
『社会の力はこのように一点に集中し、しかもその持ち手は絶えず変わる。というのも、それは民衆の権力に従うからである。社会の力は何事もなしうるがゆえに、時として賢明さと先見の明に欠けることがる。そこにこそ危険があるのだ。社会がいつか滅びる恐れがあるとすれば、原因はその力自体にあり、弱さのためではない。』
何だか今までの日本も基本的にはこれが原因かな。
塩野 七生: ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉 (新潮文庫)
「だが、民衆は察知していたのだ。意識はしなかったにせよ、どちらが勝とうと変わるのは皇帝の首だけであることを、彼らは知っていたのである。それに、何度も変わればそんおうちに、自然に淘汰された結果にしろ、少しはマシな「首」が皇帝の座を占めるようになるであろうことも、庶民の知恵でわかっていたにちがいない。」 この言葉から何を学ぶか?
石破 茂: 真・政治力 (ワニブックスPLUS新書)
石破さんを理想の政治家として目標にしています。
このようなタイプの政治家が増えればきっと変わると思います。
堺屋 太一: 人を呼ぶ法則 (幻冬舎新書)
数々の万博にかかわった方。「イベントプロデュースは、思い付きや集団合意で行われるのではなく、責任分担を明確にした組織と明解な意思の決定できる指揮系統で創り上げられる科学、いわば最先端の複合経営学である。」
だから黒字になると思う。
ホッブズ: リヴァイアサン 3 (岩波文庫 白 4-3)
やっと三巻読了。
教会の権力と国家主権とは?
誰が統治者でそして法との関係・・・。
タル・ベン・シャハー: ハーバードの人生を変える授業
リヴァイアサンが読みつかれたので・・・。移り気で読みはじめました。とりあえず一読。この本の価値は50項目ほどのテーマを実践すること。中に書き込めるようになっているので、本当に生かすのは書いてみる必要があると思う。私は習慣が一番大切だと思っているが、習慣を作る三大要素は、確固たる価値観+決まった行動+決まった時間=習慣化だそうだ。大いに納得。
研修を受けるのも大事だと思うがこうした本を一冊使いこなしてみるのも安くて価値があると思う。
塩野 七生: ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)
お風呂で読み続けてるシリーズ。中身は今日の一言でピックアップします。
松元 雅和: 平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 (中公新書)
是非ことが起こる前に読んでおきたい本です。今も世界中のどこかで紛争は起きているので、そのことを考える上でも読んでおきたい本だと思います。
平和って叫んでいるだけでは、現実的な解決は難しい。しかしどんな現実的な解決策にも光と影がある。
おすすめの本です。
とにかく今の民主主義に参加することから始まる。
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